2

□セーラー服
5ページ/7ページ


雲雀が向かったのは使われていない洋室のウォークインクローゼットで、女物の服がそこにある服の大半を占めていた。
「あのセーラー服はここから取ったね」
「…はい」
「まぁ、もう僕は着れないから勝手に使っても構わないけど」
ほどほどにねと言われ、悠弥は苦笑を浮かべた。
このクローゼットにある女物はすべてディーノが用意したもので、いくつか悠弥のために用意したものも含まれるが、そのほとんどは雲雀のための物である。
「悠弥、これなーんだ?」
雲雀がそう言ってロングスカートのメイド服を取り出した。
「…ウチのメイド服」
見慣れている悠弥はそう答えた。雲雀が悠弥に見せているメイド服は、キャバッローネ本部で働くメイド達が実際に使っているものである。
「これに着替えて」
「はっ?」
「いいから」
悠弥ははぁと答えると、雲雀からメイド服を受け取った。
「それに着替えたら夕飯作って。イタリアンじゃなくて和食ね。それからお酒も」
「はいっ?」
「それと僕の部下が山本武を引き取りに来るよう言うから、玄関に運んどいて」
「は…い」
悠弥が頷くと、雲雀は満足気にウォークインクローゼットから出て行った。
「鬼だ…」
小さく呟くと、悠弥は渋々メイド服に着替え始めた。

悠弥のメイド服の写真は、後日山本家に届けられたという。

Fin.


※おまけ、後書きと続きます
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ