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□チャイナ服
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そして千冬の額にキスをした。
「愛してます、千冬」
凛音はそう言いながら、千冬の唇にキスをし、額、目蓋、目尻、鼻、頬、唇の端とキスの雨を降らせる。
千冬は赤くなりながらそれを受け止めていたが、心のどこかで幸福感を素直に感じていた。
「千冬、もし昨夜のじゃんけんで僕が負けていたら君は何を言いました?」
チャイナ服を着てくれたお礼に叶えてあげますと凛音に言われ、急に聞かれても困るなと思いながら、千冬は願いを考えた。
自分が凛音にしてほしいこと。
千冬が真剣に悩んでいる隙に、凛音は千冬の首元に唇を寄せ、キスした後にキスマークをつけた。
赤い鬱血の跡は千冬の白い肌に良く映えたので、満足した凛音はそこにまた軽いキスをした。
このまま二の腕にもキスしたいなと思っていた凛音だが、千冬の方を優先する事にした。
「決まりましたか?」
「はい、一応」
「なんですか?」
「なんでも、いいんですよね?」
「もちろんです」
「じゃあ……添い寝してください」
千冬の言葉に今度は凛音が驚く番であった。
今まで千冬がそんな事を言ったことはないのだ。
凛音は嬉しさと愛しさが先走り、千冬をベッドに押し倒した。
「腕枕もしてあげますよ」
凛音はそう言うと、千冬の鼻の頭に口付ける。
「あ、でもチャイナ服がシワになるといけないので着替えたほうがいいですよね?」
「いえ、いいです」
千冬は首を振ると、母の口癖を言った。
「面倒です」
わずかに微笑んだ千冬に、凛音は悩殺された。
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