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□チャイナ服
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『それで、君は一切手を出さずに、一晩千冬に腕枕付きの添い寝をしてあげたの?すごいね、その忍耐強さ』
電話越しの悠弥の声は呆れが色濃く反映されていた。
「もう大変でしたよ。生殺しとはまさにこのことです。千冬の体がずっとくっついたままなんですよ!?」
生き地獄を味わったと言わんばかりの凛音に、悠弥は退屈そうに欠伸をしながら答えた。
『じゃあ次の段階踏めば?』
「嫌です」
凛音がきっぱりと答えると、あっそうと悠弥の興味なさそうな言葉が返ってきた。
『これ以上惚気るなら電話切るけど』
「ちょ、ちょっと待ってください、悠弥。最後に1つだけ」
『1つだけね』
「千冬のあんな幸せそうな寝顔は初めてです」
凛音がそう言うと同時に、電話は切れた。

Fin.
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