パラレル

□つまり君は、
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シルヴィアは兼ねてから思っていた事を幼なじみの悠弥に伝えた。
「どう考えても犯罪だと思うんだよね、俺とシャル」
それを聞いた悠弥と翠は意味がわからず、はっ?と尋ね返した。
「考えてみろよ。俺はもう働ける年齢でシャルはまだ義務教育中だよ?犯罪だと思わない?」
少し考えた後、悠弥は首を振った。
「世間一般から見ればそうかもしれないけど、お前とシャル君は大丈夫」
「なんでだよ?」
「キス以上の事した?」
「…なっ……!」
悠弥の言葉に、翠とシルヴィアの顔が同時に赤くなった。
「ゆゆゆゆ悠弥!?」
「こんな所で言うんじゃねぇよ、バカ」
翠は生徒が集まりつつある広い講堂を見渡す。
この後始まる授業が必履修のためか毎回生徒の多い授業だ。
「で、どうなの?」
悠弥が念を押すように尋ねると、シルヴィアは首を横に振った。
シャルと付き合い始めて5年になるが、それらしい雰囲気になってもキス以上の事はしてない。
シャルが徐々に不満を募らせているのは感じているが、今は気付かないふりをしている。
「でしょ?シルヴィアは節度持って付き合ってるから大丈夫だって。だからザンザスさんにも許してもらえてるんだって」
悠弥の言葉にシルヴィアはなるほどと納得した。
しかしある可能性が頭を過ってしまった。
「でもさ、シャルの方から色仕掛けとか押し倒してきたらどうするの?」
シャルならやりかねないんだけど!という気持ちで尋ねると、悠弥は残酷な言葉を放った。
「その時はその時だ。まぁ、頑張れ」
「……そんなぁ…」
シルヴィアはそれじゃあ聞いた意味がないとぼやきながら机に倒れた。
「でも恋人が積極的なのはいいことだよ。翠もシャル君を見習ってよ」
悠弥が隣に座る恋人に向かって言うと、翠は笑顔の悠弥に向かって死ねと赤面しながら言った。
授業を終えて講堂を出ると、外に明らかに目立つ人影があった。
私服の大学生に混じって存在する、中等部の制服。
「なぁ、あれ、シャルじゃねぇの?」
翠が指した先ではシャルがシルヴィアを探しているのか、きょろきょろと周囲を見回していた。
シャルの肩には学校が終わった事を示すようにスクールバックがかけられていた。
「学校終了後に大学部まで乗り込んでくるなんて愛されてるな、お前」
翠はシルヴィアの肩を叩いた。
シルヴィアの授業が早く終わる時はシャルを朝のようにバイクに乗せて家まで送るなりする時もあるが、あいにく今日は授業があと2コマシルヴィアを待っている。
「翠、そろそろ行かないと次の授業のいい席取れないよ」
「やべ……じゃ、頑張れよ、シルヴィア」
「しっかりとね」
翠と悠弥は妙なエールを送ると、次の授業に向かってしまった。
シルヴィアがため息をついていると、シルヴィアに気付いたシャルがやって来た。

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