パラレル

□つまり君は、
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「シルヴィア」
「……シャル、よく大学部に来る勇気があるね」
シルヴィアの呆れたような言葉にシャルは浮かべていた笑顔を曇らせた。
「……シャル、来ないほうがいい?」
小首を傾げながらも泣きそうな表情のシャルに、シルヴィアは慌てる。
「あ、いや、えっと、そうじゃなくて………」
どう言ったらいいんだと考えるが、パニック同然のシルヴィアの頭には良い考えは浮かんでこなかった。
「わかってるよ。授業と授業の合間に来ても一緒には帰れないもんね」
シャルは諦めたような笑顔を浮かべた。
「今日はバス乗って会社行くからって伝えたかっただけなの。だから今日はザンザス様と帰るね」
「……そう」
シルヴィアは安心と同時に淋しさを感じて複雑な思いをした。
シャルが親達の揃う会社に行くという事は今日は一緒には帰れないという事だ。
「また、明日。バイク乗せてね」
「うん、いいよ」
シルヴィアが笑顔を見せると、シャルはシルヴィアの服を掴み、少し背伸びをすると唇を重ねた。
突然のことにびっくりしているシルヴィアに、シャルは今まで見たことのない表情を見せた。
「浮気すんなよ」
胸ぐらを掴んだシャルの挑発的な笑みに、シルヴィアは恐る恐る頷いた。
「も……もちろんです」
シャルは楽しそうに笑うと、絶対だよと言って、もう一度キスをした。
「バイバイ」
「……う、うん。また明日」
手を振って去っていくシャルにシルヴィアも手を振った。
人込みに消えていくシャルを見送ると、シルヴィアはため息をついた。
(ダメだ………迫られたら耐える根性ないかも)
シルヴィアは情けねぇ…と笑いながら次の教室に向かった。

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