novel‐真選組side
□オタクと天使(トシミツ)
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「あのぅ…
ミツバたん、ぼぼぼ僕とデートしてください!」
ここは、銀魂高校の校舎裏。
そして、呼ばれたミツバはデートのお誘いを受ける。
「ミツバたん…?ダメでござるか?」
そして、呼び出した本人――――土方十四郎こと、風紀委員の副委員長で剣道部の副部長なのに、何故かたまにキャラがおかしくなるこの男が、不安そうに目の前の彼女の顔を覗き込む。
ミツバは、そんな土方を見てクスクスと笑った。
そして、土方の手を取り、優しく握りしめた。
「フフッ、いいですよ?」
土方は嬉しそうに頬を染め、ミツバの顔を見た。
「ミ、ミツバたん…!
じゃあ、日曜の13時に駅前でいいでござるか!?」
「ええ、楽しみにしてるわ♪」
ミツバは土方に微笑むと、教室へと戻った。
土方は嬉しさを抑えきれずに、ガッツポーズをして、足早に部室への道を急いだ。
―――――――――
「近藤氏〜!!」
息を切らして部室のドアを開けた土方は、丁度着替えようとしていた近藤にキラキラとした眼差しを向ける。
部活が始まる時間も近いため、ほとんどの者が武道場で胴や面の準備をしているようだ。
「おぅトシ!そんなに嬉しそうな顔してどうしたんだ?」
「実は僕……ミツバたんとデートする約束しちゃったんでござるv」
デレッと嬉しそうな顔をした土方は、恥ずかしそうに呟いた。
「本当か!?よかったな〜、トシv」
近藤も、そのことを自分のことのように喜び、よかったな!と土方の頭や肩をポンポンと叩いた。
「で・・・・
どこに行くか決まってんのか??」
近藤はニヤニヤと横目で土方を見た。
「一応決めたけど……恥ずかしいから秘密でござる!」
土方はクルッと振り返り、部活の準備を始めた。
オタクでも一応部活はしっかりやっているのだった。
「え〜!水臭いぞ、トシ〜!」
「エヘヘ☆」
「そこのお二人さん、早く部活始めて貰えませんかねィ?」
ドアに寄りかかっていたのは、渦中のミツバの弟総悟。
「そそそ総悟ッッ!!?」
近藤は慌てて総悟の方を振り返った。
かなり姉のことが大好きな総悟が先程の事を聞いたら、彼が邪魔しに来ることが目に見えている。
「お、おぅ…!今行くよ!」
「早くして下せェ。
二人とも楽しそうに何の話してたんですかィ?エロ本?エロ本の話だろィ?」
「そ、そうなんだよ〜!この前お妙さんにそっくりな女優見つけちゃって〜…なぁトシ?」
「あ、あぁ…」
沖田は疑っているかのような目で、二人の顔をジロリと見た。(土方の方は睨んでいたが)
「ふ〜ん……姐さんに見つからねぇようにな」
「お、おぅ…!」
そして、総悟は部室を出てた。どうやら水を飲みに向かったようだ。
「「ふぅ……危なかった〜」」
二人とも、ほっとしたように胸を撫でおろした。
どうやら、先程の会話は総悟にはバレていないらしい。
「近藤氏〜!このことは秘密にしてほしいでござる!!
じゃないと、ミツバたんとのデートが……」
「安心しろ、トシ!このことは俺達だけの秘密だ!」
トッシーは無事にミツバとデートできるのか?
土方は当日までをヒヤヒヤしながら過ごすことになりそうだ。