novel‐真選組side
□オタクと天使(トシミツ)
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そして日曜日。
時刻は待ち合わせの2時間前。
土方は気合いを入れて、彼なりのお洒落を決めこんでいた。
「あぁ、夢にまで見たこの日が……
今日は頑張るぞ〜!応援しててね巴ちゃんv」
と、彼が大事にしているフィギュア(実用品)に口付けた。
そして、少し早めに着くように家を出て、駅前へと辿り着いた。まだミツバは来ていないようだ。
土方はベンチに腰を下ろし、幸せそうな顔で、オタクお得意の妄想でもしているようだ。
街行く人がヒソヒソと話す声が聞こえるが、今の彼には聞こえていない。
すると……
「十四郎さん遅れてごめんなさい!」
向こうから小走りで走ってくるのは、愛しいあの娘。
その姿すら天使に見えて、土方はニンマリした。
実際ミツバが来たのは待ち合わせ5分前なので全く遅れていないのだが、そこを気にするミツバの性格が表れている。
「全然待ってないでござる!」
嘘……
本当は、1時間前から待ってたんだけどね。
土方は、息を切らすミツバを気遣い、とりあえず落ち着くまでベンチに座ることにした。
病弱なのに、僕のために走ってくれて…
土方は少し申し訳なく思った。
そして、チラチラっと横目で隣に座るミツバを見た。
いつも学校で見かける制服姿とは違い、白いワンピースとボレロが彼女によく似合っている。
そんな清楚な彼女は、まるで天使…
土方の顔はポッ……と赤くなってしまう。
「その服…」
「はい?」
「ギザ可愛い…/////(というか萌えェェェェェェェェ!!!!)」
「えっ…/////」
ミツバも土方同様に真っ赤になる。
しばしの間、二人は真っ赤なまま無言でいたのだが、
「じゃあ、行こうか?」
「はい!」
と、ミツバは土方の手を握り、土方と歩き出した。
しかし、それを偶然にも目にした人物がいた………
「あ……!あれは大串君とミツバちゃん!!?何あの二人そういう仲なの?」
それはたまの休みに生徒にせがまれパフェを食べに来ていた銀八先生こと、土方とミツバの担任。
「僕も知りませんでした;」
「お〜お〜、手なんか繋いでるヨ!お熱いアルv」
「パフェも食ったことだしよ、あいつらのデートを見届けてやるとすっか?」
「キャッホイ!!面白そうネ♪」
「ちょっ、二人とも……」
何やら楽しそうな二人とは逆に、八っつぁんは心配そう。
そりゃ、何やらしでかしそうなこの二人が、土方達を邪魔しそうな気がしてならないからだ。
「違うネ新八。せっかくラブラブなのに、ここでサドが来たらどうするヨ…?
あいつに敵うのはこの神楽様しかいねぇダロ?」
「うぅ……
確かにそうだけど尾行はよくないよ…」
やっぱり心配そうな新ちゃん。
「心配すんな新八。護衛だ。護衛」
二人の様子に、新八は観念し、邪魔をしないようによ〜く釘を挿しておいた。