土ミツ連載
□万能メイドミツバさん(6)
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「おっ妙さぁぁぁぁん!!!」
ドゴォォォォォォォ!!!!
お約束の展開が今日も繰り広げられる。
相変わらずのキャバクラスマイルを浮かべるその女は、まさか向かってきたゴリラを仕留めたハンターだとは思えない。
顔面から出血させながらも、そのハンター=妙を嬉しそうに見つめるゴリラに再び鉄拳が飛ぶのであった。
「い、痛いれすお妙さん…」
「あら近藤さんじゃないですか。
野生のゴリラが襲ってきたのかと思ったわ」
そんなギャグを放つ妙だが、言葉とは裏腹に目は笑っていない。
近藤はそんな彼女の態度にションボリしつつも、きっとお妙さんは恥ずかしがってるんだ!と自分に言い聞かせた。
なんてプラス思考!
またの名を自分勝手な解釈ともいう。
恋泥棒はこんなことでは負けません。
「あなたなんかに構ってる時間はないんです。用がないのならいますぐ消えて下さらない?」
妙の冷たい微笑みは北極の氷よりも冷たい。
せっかく保っていた鋼鉄のハートにもピシリとヒビが入った。
「そ、そんな……お妙さァァァァァん…!
って、そうじゃなくって…!実は私近藤勲、お妙さんにお願いがあって参りました!!!」
「え?
ゴリラが偉そうに…
くだらないことだったら、動物園に強制連行するわよ?」
斯々然々…
――――――――――
「ふ〜ん、なるほどね〜…
ま、あなたにしてはまともな提案じゃなくって?」
近藤の熱弁により、妙は近藤の企みを理解した。
本当に友人のことを想う近藤に、情が熱い妙はすっかり心が動かされてしまったのだ。
ま……
たまには彼の友人想いの企みのために力を貸すのも悪くはないか。
いつもは近藤に対して冷たい妙だが、今回ばかりはクスリと笑みを溢した。
「ただし……条件があります…
私にも参加させてもらいますわ。面白そうだから♪
それに、あなたに着物を預けたら、どうなるか分かりませんから…!///」
少し照れ隠し?というか自己防衛を主張する妙。
着物を抱きしめられたり、残り香を嗅がれたりしたら堪ったもんじゃないから。
しかし、土方とミツバのデートを成功させるために心強い味方ができ、近藤はほっとした。
女心を知るのは、やはり同じ女性でないと。
「じゃあ、お妙さんお願いします!」
「任せてください」
ミツバを飾り付けるために、二人は屯所へと向かった。
さぁ、土方とミツバはどうなるのだろうか。
総悟から逃れることはできるのであろうか。
(続)