土ミツ連載

□万能メイド、ミツバさん(2)
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キュィィィン…








静かに横たわるミツバの起動スイッチを押すと、人間から発せられるとは思えない機械音が響いた。
その音が嫌に耳に響いて、総悟は胃がキリリと痛んだ。









その音が徐々に小さくなる頃に、ミツバの双瞼はゆっくりと開かれた。








起動させたばかりだからか、彼女の視線はうまく定まらず、ぼんやりと天井を向いている。














機械家政婦であるミツバの開発には総悟もずっと携わってきた。
彼女の身体や生前の情報のプログラムには総悟も関わったし、ミツバを見るのは初めてではない。






しかし、ミツバと姉弟として接するのはいつぶりであろうか…






久しぶりに湧く何ともいえない感情に、胸を高鳴らせた。













「姉上…」










ミツバの身体を優しく起こし、ミツバの顔を見つめた。













「あ……そーちゃん…?」










覚えててくれた…!
って、こらァ俺が植え付けた記憶だけどなァ…



でも、嬉しいもんでさァ…













「姉上っ!!」











機械の姿である大切な姉をギュッと抱き締めた。


前と変わらずにいい香りが漂い、懐かしさから鼻の奥がツンとなる。





ミツバは昔と変わらずに優しく総悟の頭を撫でて落ち着かせてくれる。
機械家政婦になっても姉上は昔のままだなァ。








「そーちゃんは幾つになっても甘えんぼさんね」



クスクスと困ったようにミツバは笑う。




「そらァ姉上にだけでさァ」




































とりあえず説明書を読んで一通り確認すると、飯でも食いに行こうと食堂へと向かうことにした。





当たり前だが、ミツバは機械なので食事はしない代わりに充電が必要である。






充電用のコードやら装置やらを取り付けると、彼女は起動する前の用に静かに瞳を閉じた。






それを確認すると、総悟は足早に部屋を出た。足取りは軽い。










「おぅ、総悟!何だか機嫌よさそうじゃねぇか〜?
良いことでもあったか?」








ゴリラ顔だけど、隊士からの信頼が厚い局長の近藤が総悟と鉢合わせした。
昔から姉の次にベッタリだった彼に、総悟は滅多に見せない笑顔。


こうやって話していると、幼かった頃が思い出されて懐かしい。










「秘密でさァ」


「え〜、つれねぇなァ〜」







空腹の腹に促され、二人は談笑しながら食堂へと向かった。
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