宝物

□Happy Endless!(氷帝)
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[#Happy Endless!(氷帝)]








「よし、ちゃんと晴れてるな!」

「予報だと午後は降るって言ってたのにねー」

「俺と岳人でてるてる坊主作ったんだから当たり前だCー!」

「中三にもなっててるてる坊主かよ…」

「童心は忘れたらあかんで。そのおかげで晴れとるんやし……なぁ岳人?」

「おう!」

「あの、カメラこの辺で大丈夫ですか?」

「…おい鳳、これじゃ全員映らないんじゃないか?」

「あ!ほんとだ…!」

「おいおい、大丈夫か長太郎?」

「つーか、跡部の奴はどうしたんだよ?こんな暑い中コートに放置しといて自分は部室か?」

「あ、そういえば生徒会の仕事あるって言ってたような……んじゃ俺、跡部と樺地呼んでくるCー!」

「行ってらっしゃい。校舎の中涼しいからって寝ちゃダメだよー?」

「はぁ、集合写真撮るとか言い出したん自分やのに待たせるってどういうつもりやねん……」

「まぁまぁ侑士、そうイライラすんなって。ジローが呼びに行ったんだからすぐ来るだろ」

「日吉、ここで大丈夫?」

「ああ…多分な」

「長太郎、若、そんなん適当でいいぜ?」

「でも、せっかく撮るんですから…」

「まぁそうだよね。全員揃って写真撮ることなんて滅多にないし」

「それにしても、何で今なんだ?全国優勝した時とかでいいんじゃねぇの?」

「せやなぁ…ほんま意味わからんわ、跡部は」

「おいてめぇら、何してる。さっさと済まさねぇと練習時間が減るだろうが」

「あ、やっと来やがったな!?お前を待ってたんだろうが!」

「俺様がセンターだ!さっさと集まれ!」

「ウス」

「はぁ……全くあの人は」

「ねぇ日吉、写真撮る時ぐらいは笑ったら?」

「うるさい」

「おい、ジロー寝よったで!」

「…起こせ樺地」

「ウス」

「シャッターは俺が押してやるよ」

「え、でも宍戸さん…」

「俺の足なら間に合うだろ、心配すんな」

「タイマーそんな短いのか?」

「跡部、もっと性能いいやつ持ってくればよかったのにー…」

「…すいません…自分が…持ってきました」

「別に樺地は悪くないよ?いつも突拍子もない提案ばかりしてるのは跡部なんだから」

「うるせぇ」

「んじゃ撮るぞ!」

「何や日吉、笑わんのか?」

「放っておいてください」

「メガネもーらいっ!」

「あ!ちょ…っ岳人!返しや!」

「黙れ眼鏡、うるせぇぞ」

「今の俺は眼鏡無しやアホ!…ってもう押したんか!」

「宍戸急げー!!」

「宍戸さん、急いでください!」

「バーカ、余裕だっつの」

「やるねー」

「岳人!俺の眼鏡…っ」

「わ、おい侑士…っ!」

「は!?ちょっと…!」

「え、うわ!?」

「あ!?何すん…っ」

「……はは」

「……てめぇら…」

「…あ、」

「「「「ああああああ!!!!」」」」



カシャッ


始まりの音が響く。
もうすぐ暑い熱い夏が来る。

幸せな結末よりも、どうか、どうか、この夏が終わりませんように。

俺達の、世界で一番熱い夏まで、あと少し。



――6.21 氷帝学園、テニスコートにて。





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