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□やきもちなんかやいてねぇ!
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―やきもちなんかやいてねぇ!




「リョウー、こっちおいでー!」


「にゃー」


ここは俺の部屋。

宍戸さんと、俺、そしてうちのペット、猫(オス)の「リョウ」でくつろいでいます。


宍戸さんが俺の家へ来るのはこれで3度目。

でも、「リョウ」に会うのは今日が初めて。

なかなかタイミングが合わなくて、会わせてあげれなかったから。



「可愛いなー、子猫も。」

「でしょー??もー、ほんと可愛いんです、この子。」



リョウがうちに来たのは今から3ヶ月前。
道端に捨てられていたこの子を、俺がたまたま見つけて拾ってきたんだ。

黒い子猫。もちろん、「リョウ」って名前は宍戸さんから取ったんだけど、ね!

ちょっとツリ目で、たまにすごく甘えてきて、なんだか宍戸さんに似てるんだよねー…



「俺、犬しか飼ったことねーからなぁ…んー、よしよし、可愛いな、お前。」



そう言ってリョウを優しく撫でる。

…宍戸さんとリョウ…

くぅうう!なんて可愛い組み合わせ…っ!




っと、そろそろミルクでもあげようかな!



俺は、立ち上がりミルクの準備をする






…よし、できた。






「リョウー、ミルクだよー、おいでー!」


「にゃー!」


リョウは宍戸さんから離れ、足早にこっちへやってくる。



「よしよし、ほーら、おいしいミルクだよ〜」


「にゃあ〜」



リョウはペロペロとミルクを舐める



「はー…可愛い…」


ちっちゃい舌で、一生懸命ミルクを舐めてるんだよ!!

たまらないよね!




「…リョウ、世界で一番大好きだよ…っ!」



「にゃーっ!」



「可愛いっ!」






「…。」







ミルクを飲み終わり、俺の元へ来るリョウ。



「んー、可愛いなぁ…愛してるよーっ」




リョウのちっちゃな身体を撫でる。




















「…帰る。」










…え?



い、今、帰るって…言った?






「え、宍戸…さん?」





「用事思い出した。帰る。じゃーな。」






そう言うと宍戸さんはドアの方へ早足で向かう



「ちょ、ちょっと!待ってください!!」




俺は、リョウを抱きかかえたまま、立ち上がり、宍戸さんの腕を掴んだ




「っ…離せよ!帰るんだよ俺は!」



「だって今日は一日居るって…」





「うっせーな!離せよ!!!」




大きな声に驚き、俺は宍戸さんの腕を離す








「な、なんでいきなり…」





今日は泊まっていく、って前から決めててくれてた。

だから用事は…ない、はず。

部活とか大会とかでなかなか二人になれなくて、今日は本当に久々の二人っきり。


これから、いっぱい楽しい事しようと思ってたのに…なんで…




…怒ってるんだろう…









「宍戸さんに不快な思いさせていたのなら…ごめんなさい…」






とりあえず、謝る。



ど、どうしよう…ほんと…どうしていいかわからない…




「あの…宍戸さん…お願いします…怒ってる理由を教えてください…」




悪いところがあるなら、全力で、直しますから…。




そう言い、俺は頭を下げた






「にゃー…」



リョウも、小さな声で鳴いた









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