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□やきもちきもち。
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―やきもちきもち。






「ジロー…早よ起きー…はあ…なんで俺がおんぶせなアカンねん…」


屋上で寝ていた子羊を背中におぶり、跡部の元へと運んでいる。


何故こいつはこんなにも眠いのだろうか…

そう考えながら歩いていた。


しかし周りは

「親子みたーい」

だの

「ジローくん可愛い〜」

だのコソコソ話している。


聞こえてるっちゅーねん!
俺の苦労を少しくらい分かれやアホ!


「はあ…ほら、ジロー…」

「…んあ」


体を支えている手でジローの背中を叩くと、少し反応を示した。


「かばGー…あんがとー…くー………」


「樺地ちゃうわ!!って寝んのかい!!」


クスクスと笑う声が聞こえた。


「なんやねんもう…」


トボトボと下を向いて歩いていると



「っと…!…」



案の定、人とぶつかった。



顔をあげると、そこにいたのはよく知っている人物だった。




「あ、」



「侑士じゃん!!」


「岳人やったんか。すまんな、今お荷物運んでてん。」


そう言い背中を見せる



「……ジロー運んでんの?なんで侑士が?」


「屋上で寝ててん。で、跡部が探しとったから運んでるっちゅーわけや。」



「……ふーん」



下を向いて何故かつまらなそうな顔をしている。



「……岳人?」


その表情に気づき、岳人の顔をのぞきこむ。









「………だいすきぃ……むにゃ……」



すると、突然ジローが俺の背中に顔をこすりつけながらそう呟いた。



「っ……!」



「ちょっ!!待ち!!岳人!」



岳人は猛スピードで目の前から去っていった。




俺の声は、岳人には届かなかった。


「お前も何言うとんねん!!俺は跡部やないで!!」


振り向きながらバシッとジローの背中を叩く



「んー………」


「岳人………あー…ジローすまん!誰か!!こいつ頼むわ!!」



そう言い、おぶっていたジローをその場に下ろし、俺は岳人が去っていった方向に向かって走っていった。




「…がんばれえ…」

小さく、ひらひらと手を振るジローの姿。

ジローはそのまま眠りについた。







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