文章
□ありったけの力で抱いて
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お願い
もっとして
もっと…そう…お願い
強く抱き締めて…
―ありったけの力で抱いて
幸「…真田、早く来てよ」
俺は窓の外を見つめながら呟いた
幸「毎日来てくれるって言ったのに…」
寂しいよ
早く来てくれないと
死んじゃうよ
―プルルル〜♪
いきなり俺の携帯が鳴った
手元に取って画面を見てみると
【真田】
の文字
あ…出なきゃ
通話ボタンを押した
幸「…もしもし?真田?」
真「あぁ、俺だ。すまん幸村…今日は急に用事が入ってしまって、そっちに行けない」
幸「………そっか、分かったよ。気使わせちゃってごめんね」
…なんで?
来てくれるって約束したのに
気持ちとは裏腹の言葉しか
俺は言えなくて
じゃあね、 と言って
電話を切った
切ったと同時に
涙が溢れた
幸「ッ…うッ…なん…ッ…で…ッ…なんで…だよッ…ッ!!」
その日は
狂ったように泣いた
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