文章

□もう少しだけ
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「っ…観月、」


互いに息を整えつつ

目を見つめ合う


しかし、僕はすぐ逸らしてしまう



「こ…こういう時くらいは…名前で呼んでくれても…構わないです、よ…」


…嗚呼、なんで素直に言えないのだろうか


照れ隠しが

嫌みに聞こえてしまう…


それなのに





「……はじめ…」





貴方の低くて甘い声が



胸に


深く、響くから




泣きそうに


なってしまう



「………っ、あかざ…」


「俺の事も…名前で呼んでくれ、はじめ…」




…な?


と、頬にキスをされる





「……っ、」




恥ずかしい…恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい………



こんな気持ちになった事なんて






ない






僕は、こんなにも恥ずかしくて貴方の顔を見られないのに


貴方は、目を逸らさず僕の事をずっと、

ずっと見つめ続けていて



「…はじめ…」





僕の名前を呼び続けてくれる


ゆっくりと

貴方の方に顔を向けて



けれど、目だけは腕で隠しながら




「…よ…吉…朗…、」







小さな声で呟く







「…好きだ、はじめ…」



「っあ…っ!」




その声と共に



勢いよく、僕の体内に




侵入してくる




「好き…だ、…好きだ好きだ好きだ…っ」




「そん…なに、あっ……!言わなくて…も…分か…って、っ…ま、す…!」



本当は





…嬉しい


何度も



言ってほしい




「はじっ、め……っ好きだ…っ」





そう囁く貴方の声と


交わる水音が




部屋中に響く








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