夢
□狂ったのは
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たぶん恋って狂うことなんだよ。
なんてあいつが少し前にそう言っていたっけ。
確かあのときは俺があいつに告白したときで。
告白って言っても、好きです付き合ってくださいって言うありきたりなものじゃなく、俺のものにならない?っていうあいつ曰わく「俺らしい」告白の仕方。
ていうか告白じゃないって言われたけど。
まあそれで、
「ねぇ神威は恋ってしたことある?」
なんて聞かれた。
気に入った女とかは結構いたかもしれないけど、それが恋かわからないから、俺は「さあ?」って答えた。
それであいつは聞きもしないのにあんなことを言って
「それくらい愛してくれたら神威の女になってもいいよ」
とか言った。
しかも見下した感じで。
今思えばさ。
狂った恋なんて無理なんだよ。
だって俺すでに狂ってるしね。
「神威?」
お前の顔はどんどん白くなって。
そう、あのときから狂った恋とやらをしていたんだよ、たぶん。
「え、意味わかんない」
たくさんの血を見てお前はおびえたように笑うんだ。
冗談でしょう?って。
冗談なわけがない。
「言っただろ?」
狂った恋で、狂ったように愛することができたなら。
「お前は俺のもの」
狂ったのは
(俺だけじゃなくて)(俺の言葉を聞いて笑って幸せそうに死んでしまったお前もだろ?)