□君のすべて
1ページ/1ページ

あの日から。ちょうどあの日からだ。
君がそんな顔をして笑うようになってしまったのは。
もう、消えてしまいそうな顔で笑うようになってしまったのは。

静かな談話室。外はもう暗く、私の眠気ももう限界まできていて、談話室に辿り着くまでに欠伸は数えられないほど出た。
そして、目的地である、不気味と言っても過言ではない談話室に入ると、ほんのり明るい光が見えた。

「あ、アレン・・・・」

彼独特の白い髪。
声を発したものの気づかなかったらしく、彼はびくりとも肩を動かさなかった。

遠くから見た彼の背中は小さく見えた。
消えてしまいそうに見えた。

「何してるんですか」

気がつくとアレンを後ろから抱きしめていて、いすに座る彼は必然的に私を上目使いで見た。

「今、任務から帰ってきたんですか?」

私は小さく首を振るとアレンは笑って言う。

「おかえりなさい」

ほら、またそんな顔。
自然と腕に力が入る。

「どうしたんですか、痛いですよ」
「我慢しててよ」

そう呟くと君は困ったような顔をするんだ。
それでも、




君のすべて
(全てを抱きしめて、捕まえていられたら)(君は前のように心の底から笑ってくれるのだろうか)






拍手

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]