夢
□君のすべて
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あの日から。ちょうどあの日からだ。
君がそんな顔をして笑うようになってしまったのは。
もう、消えてしまいそうな顔で笑うようになってしまったのは。
静かな談話室。外はもう暗く、私の眠気ももう限界まできていて、談話室に辿り着くまでに欠伸は数えられないほど出た。
そして、目的地である、不気味と言っても過言ではない談話室に入ると、ほんのり明るい光が見えた。
「あ、アレン・・・・」
彼独特の白い髪。
声を発したものの気づかなかったらしく、彼はびくりとも肩を動かさなかった。
遠くから見た彼の背中は小さく見えた。
消えてしまいそうに見えた。
「何してるんですか」
気がつくとアレンを後ろから抱きしめていて、いすに座る彼は必然的に私を上目使いで見た。
「今、任務から帰ってきたんですか?」
私は小さく首を振るとアレンは笑って言う。
「おかえりなさい」
ほら、またそんな顔。
自然と腕に力が入る。
「どうしたんですか、痛いですよ」
「我慢しててよ」
そう呟くと君は困ったような顔をするんだ。
それでも、
君のすべて
(全てを抱きしめて、捕まえていられたら)(君は前のように心の底から笑ってくれるのだろうか)
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