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□日常
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頬を切る風が痛い季節。
容赦なく吹く風が、自分の心にも同じように吹いているようなきがして…何処からか寂しさが染みだしてくる。
セバスチャン……
そんなとき、ふと頭の中を頭をかすめた名前。
どうしても…、今、
顔がみたい。
声がききたい。
…僕だけをみてほしい。
仕事なんてしなくていいから。
自分で首のリボンをほどいた。
そして、ベルをならす。
「お呼びでしょうか?」
1秒もたたないうちに、目の前に現われた黒い姿。
頬が緩みそうになるのを必死にこらえた。
そして、
「ヒモがほどけた。」
ぶっきらぼうにこうつぶやいた。
「かしこまりました。」
白い手袋をした手がくびもとのリボンを結ぶ。
これだけなのに。
心臓がたかなって。
僕は目だけをうごかして、セバスチャンを見上げた。
そのとき、目線がパチりとあった。
今、セバスチャンは僕だけのものだ。
そう思うと、僕の頬は赤くそまりそうなぐらい熱くなる。
でも、気付かれてはいけない。
この関係を壊したくないから。
もう、失いたくない。
だからセバスチャン、お前は僕の気持ちに気付くな。