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□しとしと、雨が
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帰り道、馬車の中。

湿った外気に、体温を奪われる。

自分でもわかる程に冷えている身体は微かに震えて止まらない。





「…ックシュ」

「大丈夫ですか?」



自分も濡れているのに…心配そうな深い瞳で見つめて、僕についた雨粒を拭う。




「お前こそ…」

「私は悪魔で執事ですから。」



いつものようにふんわりと笑った奴の頬に…柔らかく指を重ねてみる。




「…冷…たい……」

「坊っちゃんのほうが冷えていらっしゃいますよ。」




そういって優しい瞳で見据えられる。

染まる頬と乱れる胸のリズムを感じてぱっと手を引っ込めて目を反らす。




「お屋敷についたら、お風呂を沸かしますね」

「あぁ…」





この空間に二人でいるだけで、隣が気になって仕方ない。



目線を窓へと向けていても、わずかな音や微かな気配を感じてしまう。




「…ックシュ……」

「嗚呼…。」




それはセバスチャンも同じなようで。

僕のくしゃみの音を聞くたびに小さなため息をもらす。




「ほら、着きましたよ。」




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