株式会社境界商事
□第3章
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「橘木さん、これもお願いします」
「は〜い、少々お待ちを」
「洋志郎、これも」
一方、境界商事の開発部では月に一度の大掃除を迎えていた
清掃員、橘木洋志郎もこれに駆り出されていた
てきぱきとした洋志郎のアドバイスによりみるみるうちに片付く開発室に技術者河城にとりは感嘆のため息をついた
「あの、洋志郎さん、これは…」
ゴミの分別をしていたうどんげの手が止まる
「はい?」
そして、振り返った洋志郎の手も
その視線は廊下を歩く数名に集められた
高いヒールを鳴らし歩く4人の女性と見慣れた男性
「あれは…営業の涼城課長?」
「あら、周りのは珍しいわね」
うどんげの横から顔を出した永琳は彼女らの背姿を懐かしむように見た
「師匠、あれって…」
「えぇ、1年振りの海外組の帰国だわ」