妖怪MIX小説!

□現代機器と古典的移動
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「にしても妖怪が携帯を持つ時代なのねぇ・・・。」

「それには同感ですけど、持つきっかけは妖怪じゃないんですよね。」

パチン。
網目状に張られた線の間に“歩兵”と書かれた駒を打ち込む。
まだ第2手だ。

「人間でしょ。わかってるわよ。」

「実はそうでも無かったり・・・。」

そういったのはたぶん聞こえなかっただろう。
と、いうか神様(には見えないが)は案外きさくすぎて困る。

「で、まだ一件なのね。ここかな。」

「はい。なので今日はいろいろ回って、知り合いにアドレスとか聞いてこようかと。・・・歩取りっと。」

「具体的にはどこに?場所によっては私も行くわ。・・・まぁ最初だし。」

「そうですねぇ。」

ちゃんと数まで数えてなかったので中空を見上げ、指折り数えてみる。

「とりあえずここと、2−D、生徒会室、ニュー吹奏楽、新井さんの神社、箱庭学園、碧陽学園、桜高校、高上さんの家・・・ですね。」

改めて考えると多い。

「あれ。自分のクラスはいいの?」

「イタチさんくらいしかまともにしゃべってませんから。あ、後アルマ。」

「ふーん。じゃあとりあえず部長が来るまで待機ね。私は行かない。」

「ですね。・・・あれ、イタチさんは?」

「あの子家電もないわよ。」

「あらま。」

かくいう自分も家電はない。と、いうか使う予定もない。

「遅れました〜。」

噂をすれば影。やってきたのは部長だ。
ミサキの目をみれば、言っていることが分かった。

『合わせろ!』

『OK!』

「裁判を始めます。被告白塚真一、前へ。」

「・・・はぁ。」

おそらく真一はいつものノリだと思って流す気満々なのだろう。が、今回は2人掛りだ。

「罪状、いっぱい。主に私の気分。・・・意義はありませんね?」

「意義あr「認めません。」じゃあ聴かないでくださいよ。」

「聞こえません。では判決を・・・暁裁判長、お願いします。」

「分かりました。判決、有罪。」

「はいはい・・・。暁さんまで付き合わなくて良いよ。」

「被告を“暁焔に携帯番号を教える”の刑に処します。」

「・・・は?」

ココにきてようやく種ばらし。と、いうかミサキの言った罪状が酷いという突っ込みは入れる暇すらくれなかったのか。
ちょっと罪悪感。















「はい。」

「ありがとうございます。これで2人目〜♪」

とりあえずこれで「は行」に1人、「さ行」に1人となった。
今日でどこまでいけるかは不安だが、増えることは純粋にありがたい。

「にしてもいつの間に買ったの?先週金曜はもってなかったよね?」

「土日の間に。一人で行ったものでかなり混乱しましたけどね。」

同じような携帯電話があちこちにあり、どれがどう違うのか全く分からなかった。
強いて言うならパカパカ開かない、直接触るタイプなら見分けがついたが。

「割と新しいからね。携帯。」

「そうね〜。ここ十数年で一気に出てきたわね〜。」

「・・・そういえば先輩、年上でしたね。」

「ええそうよ。先輩が年上なのは当然・・・でもないわね。Shit!」

「英語には触れないですよ。・・・ん?どういうことです?」

「あんたみたいなやつのことよ。」

「・・・ああ。なるほど。」

確かにミサキは先輩だが、自分のほうが年上のなのはほとんど間違いないはずだ。

「じゃあ私はそろそろ行きますね。あ、白塚部長、申し訳ないですけど・・・。」

「うん。別にここは放任主義だからいいんじゃないかな?」

「助かります。」

「にしても奈良山とか穂村とか、ああいうのは見ないけどどこにいるのかしらねぇ。」

「・・・だいぶ前にも同じようなこと言いましたけど、どちら様で?」

しかしまぁ片方は聞いたことがあるような気がする。

「ん?穂村はアルバイターの幽霊部員。で、奈良山は「俺だよ。」お、ナイスタイミング。」

「あ!あの時の!」

「やぁ、久しぶり。」

そこにいたのは笑顔の似合う(と、いうかそれ以外の表情が思いつかない)長髪の男。
そういえばそんな名前だったか。

「改めて自己紹介。美術部の奈良山善人、風景画担当で・・・言っても大丈夫かな。うん、天狗です。」

「ご丁寧にどうも。同じく美術部新入部員の暁焔です。で、鳳凰とか不死鳥とか、そういうののごった煮妖怪です。」

「ごった煮って・・・。」

「表現簡単でしょう?」

もうちょっとなんとかならんのか。

「さて、じゃあ俺は描きに出るよ。」

「ああ、いい天気ですもんね。」

そう言い返すと奈良山は手早く準備をすませ「そういうこと。じゃ」と言い残して出て行った。
・・・いや、待った!

「奈良山さん!よかったら携帯番号いいですか?」

「ん、いいけど。」

2人ともポケットから携帯を取り出し、赤外線通信。
まぁこんな場面で冷やかさない先輩がいないわけないのだが。

「天狗さんもこころなし嬉しそうね?」

「やぁ、まいったなぁ。嬉しくないといえばウソになりますけどね。友人が増えるのは。」

「そういう意味で言ったんじゃないっての。」

「はい、完了です。ありがとうございます♪」

「いやいや。・・・あ、でも俺基本出ないから。」

「わかりました。前もって連絡するようにします。」

「そうしてくれると助かるな。じゃ、また会ったらよろしく。」

「こちらこそ。」
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