短編

□LOVE LOVE LOVE !!
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驚いた。
珍しい奴からのメールだったから。
忙しいだろうからメールは避けてたし、向こうも忙しいからしてこなかった。
だから…自然破壊するんじゃないか。と思っていた。
いや、自然破壊を決めていた。




だから、こんな些細なメールでも
素直に喜んでる俺がいる。










LOVE LOVE LOVE !!










「……つか、長ぇし」




受信ボックスから一件のメールを開けば、ズラリと並ぶ文字。画面全体を覆い、更にまだ続いている文。一文が終わる度、絵文字とかがあるのはあいつらしい。と高杉は笑った。
高杉からメールしてきたのは、恋人である銀八から。銀八との付き合いは高校からだ。でも銀八のメールはとてつもなくめんどくさいと高杉は思う。長いから読むだけで疲れてしまうのだ。




だから、仕方なく




『読む気失せる』




とだけ送って、高杉は携帯を閉じた。そして読んでいた小説に手をだしたのだった。読んで間もなく、返事が返ってきた。




10/5 21:29
To:銀八
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可愛くねーのっ!
ホントは嬉しいくせにさっ!!





それを読んで高杉は思わず、くすりと笑ってしまった。
銀八らしいと思ったのだ。
でも、きっとあれだけの返事に、銀八なりに悩んだに違いない。




10/5 21:35
To:晋助
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はっ!
自惚れんなよ、天パぁ!!




10/5 21:44
To:銀八
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なんだよ(#`皿´)
ならメール返してくるなよ!
いいよっ!
銀さん、知らないから!




10/5 22:30
To:銀八
-------------

ごめんなさい。
まじで、反省してます。

だから、メール返してっ( p_q)




10/5 22:35
To:晋助
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自分から言ったくせに…ばぁか。
大体、返さなかったら返さなかったで拗ねる奴はどこのどいつだよ。




10/5 22:40
To:銀八
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俺です( ┰_┰)
ごめんね?晋ちゃん。




「―……」




とくん。っと胸が高鳴った。
銀八にだけに言われていたもの。
当分聞いてない彼の声…。
そんな彼の。好きな声で呼んでほしい。




10/5 22:50
To:晋助
-------------

許してやるよ。
で…なんの用?




相変わらず素直じゃない。と自分で思う。本当は嬉しいくせに素直に言えない。そう思っていると、携帯が震えた。フォルダを開いて来た返事を見る。




10/5 22:58
To:銀八
-------------

だってよ、やっぱさ…さみしいから。




その言葉を、画面越しに何となくなぞってみる。
そして、アホじゃねーの。と呟いた。その顔は赤く染まっており、高杉は抱いていた枕に顔を埋めたのだった。そして、メールの返事を送ろうとした手を一旦止め、言葉を付け足す。
素直な気持ちを…。




10/5 23:03
To:晋助
-------------

女々しいこと言ってんじゃねぇよ。
気持ち悪ぃな。














俺まで寂しくなるだろ…。
…会いたいよ、銀八。











それを送って、すぐに携帯が震えた。
携帯を開けば「受信メール有り」という画面はなく、「坂田銀八」という名前があった。それは、着信というものを表していた。
ドキンッと胸が高鳴り高杉は、急いで出たのだった。
携帯の向こうからは、懐かしくて聞きたくて仕方なかった愛しい人の声が耳に流れ込んでくる。




『お前可愛すぎなんですけど!つか、最初から電話したら良かったんじゃね?!銀さん思い付かなかったわぁ』

「……」




クスクス笑う電話越しの愛しい人。
笑い方はあの時と何も変わっていない。
声も…何もかも。
ただ…、顔が見たい。触りたい。触ってほしい。そんな思いが高杉を支配したのだった。




『……?どうし、』

「ょ、ん…で」

『……え?』

「名前……呼んで。銀八…」




気づけば視界は歪んでいた。
鼻の奥がツンとして、目の奥が熱くて…。










『……晋助』










「―……っ」




銀八の声が届き、顔にふつふつと熱が集まるのを高杉は感じた。透き通るような声。今まで溜まっていた涙が頬に伝う。そこで気づいた。一番女々しかったのは自分だった、ということに。




『……泣くなよ、晋ちゃん』

「っ…泣いて、なん…かねぇょ。……な、で、メールも電話も…寄越さねぇ、だょ。…っさみし、かったんだ、ぞ」

『ごめんな。メールとか電話したら、もう晋助が側にいないと気が済まなくなっちまいそうでよ。…いっそ監禁しちまおうかな。…なんてことを…』










「思っちまうだろ?」










「―……!?」




電話越しより聞きやすい音色が部屋に響く。
高杉はバッと振り向いて目を見開いた。
そこには、片手には携帯もう片手には此処の合鍵を持っている銀八が立っていた。幻覚かと目を擦り、もう一度見るが確かに銀八は目の前にいる。




「ぎ……ぱ、ち」

「会いたかった…晋助」




パタンと携帯を閉じて銀八は、高杉にそっと近付き抱いた。久しぶりに抱いた高杉は相変わらず小柄で高校の頃と変わっていなかった。変わったと思えるとしたら顔つきが少し大人っぽくなったところだ。
高杉の頭に頬を寄せる。




「本当は驚かそうとしたけど、晋助が可愛いことばかりするからよ。電話かけちまったじゃんか」

「……銀、八ッ」




高杉は、銀八の背中に腕を回し力強く抱き締めた。
それに応えるように銀八も高杉を抱く力を込める。
銀八曰く、休暇を貰えたらしく特にしようと思う事がなく、今まで高杉に会う時間が作れなかったから、この際会いにいこうと決めたのだという。




「…こっちの予定もあったんだぞ」

「そんなの銀さん知りません。そんな選択肢、銀さんの頭に入ってないから♪」

「………馬鹿」




頭の中で、大学休まなきゃ。やクラスの飲み会、断らなきゃ。などを巡らせていた。
でも答えは既に出ていた。今まで休まずに行っていたが、銀八と少しでも長くいれるのなら話は別であった。躊躇なく休むつもりだ。




「あれ?晋ちゃん、背少し伸びたんじゃないの?」

「170cmのままだ。馬鹿、アホ、死ねクソ天パ」

「あらま、口は相変わらずだな」




銀八は嫌味たらしく高杉にそう言った。
少しばかりニヤけている顔に高杉は頬を若干膨らます。
でも、それが愛しくて…仕方なかった。
高杉は、なぁ。と銀八を呼ぶ。高杉に呼ばれ銀八は、少しだけ背を縮ませ高杉の身長に合わす。何?と呟けば、返って来たのは言葉じゃなく、軽いリップ音が付いた口付けだった。
銀八はへ?っと呟き目を丸くさせたまま、高杉を見る。目の前の彼の表情は頬を赤く染ませていた。目も潤ませており、可愛さを更に増す。
銀八は心の底から嬉しさを感じ、高杉をもう一度強く、強く抱き締めたのだった。薄れかけた幸せを濃く戻していくかのように。




「銀八……」

「ん?」

「……おかえり」

「―……ただいま」




銀八は目を細めて高杉の頬に触れたのだった。
もう一度、唇を合わして二人は笑いあった。
静かで虚しかった高杉の号室が今、幸せと心地よい暖かさで充満していくのであった。










「………」




高杉は、目が覚めるといつもの天井に出迎えられる。




いつもと変わらない。
けど一つだけは確実に違う…。
それは…。




「おはよ、晋助」

「はよ………銀八」






貴方が側にいること。






*fin*
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久しぶりです!
銀高、久しぶりに更新した気がします。
二人は離れて暮らしてます。
つまり、高杉は大学生で銀八は銀魂高校の教師です!

甘々を書きたかったのですが、いかがでしたか?
楽しく読んでいただけたのなら光栄です!!


11.22 冬夜

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