記念リクエスト

□無意味な期待
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ああ…誰か、






「ヅラ、冗談もいい加減にしろよ」

「ここで冗談言ってどうする!」






誰でもいい……。






「まじで…銀八が??」






嘘だと言ってくれ―…。










銀魂高校:坂田 銀八






新聞にその名が載っていた。ろくに新聞なんて読まない高杉は、桂からの電話をきいて新聞を広げたのだった。高杉が見た一面は、今回離任式で学校を去る者の名前が載っている紙。そこに銀八の名がないのを願っていたがそれはあっさり崩されてしまった。銀八は、高杉の担任であった。




「……ま、じかよ」




高杉は、俯き新聞が皺くちゃになるくらいに握り締めていた。信じたくなかったのだった。高杉は、前世の記憶を持っている。時代は、江戸。高杉は、高校に入って銀八に出会った。前世の時に、万事屋を営業していた坂田銀時という恋人がいた、その人物にそっくりだった。だが、銀八は高杉の事を覚えてないらしく結局、銀八は高杉の事を思い出さず3年生は卒業し、3Zの友達と集まりちょくちょく銀八の家に突撃していた。その日が多くなるにつれて、高杉は思い出してくれなくても近くで見るのも悪くないと感じ始めていたのだった。





「……」




なのに、こんなの酷いじゃねぇか…。
近かったらまだしも、違う県に行ってしまうのなら、二度と会えないかもしれない。






銀八―…。






†無意味な期待†






久し振りに着る制服に包まれて高杉は登校した。出来れば行きたくなかったのだが、体はいう事を聞いてくれず3Zを目指して歩いていた。着くなり、何人かの生徒は泣きそうな顔をしており、何人かの生徒はいつも通りはしゃいでいるが、テンションは低い。




「よぉ、高杉」

「土方か」

「まさか、あいつが離任なんてなぁ」

「…だな。変な感じだ」





あぁ…胸が引き裂かれそうだ。
苦しくて…痛い。





チャイムがなるなり、全校生徒は体育館へ移動した。銀八の他にもいなくなるようだったが、高杉にはどうでも良かった。ただただ、涙をこらえるのに精一杯だ。





お前は、ホントに前世の時と変わってねぇな。また俺から放れていくのかよ…。





転任する教師が体育館へと入ってくる。銀八は、いつも着ている白衣ではなくスーツを着ていた。その姿を見るだけで目の奥が熱くなる高杉は、見ていられず視界を床へと移動させた。転任する教師達の挨拶を聞いていると周りから、泣く生徒がいて鼻を啜る性格もいた。最後は、銀八だった。




「…おいおい。おめぇ等。いつもの迫力はどうしたよ??てめぇ等に涙なんて似合わねぇぜ??」




銀八が指導していた元クラスにそう言い苦笑していた。




「えー、この俺、坂田銀八はついに銀魂高校を去る事になりましたよコノヤロー。此所には長い事居たけどまぁ、俺がいっちばん世話がやけたのは卒業した元3Zの奴等かな。本ッ当に疲れる訳よ。」




銀八は、3Zであった事を思い出すかのように目を閉じ話始めた。




「毎日、ツッコんでくる奴もいるし、バカ2人は騒ぎ始めるし、ゴリラとメスゴリラの騒ぎも始まるし、タコ様ウインナーの取り合いするアホ2人もいるはぁ……屋上でいつもサボる不良くんもいるしよー」

「―…ッ」

「な、高杉くん」




銀八と目がバチッと合い、そしてその少し困った顔が事件を起こす度困ったように注意してくる時の銀時と同じ表情で泣きそうになり逸した。




「でも、良い思い出だった。ありがとな。…さて、話が長くなったから終わらすか。今から、大学や就職につく奴、そして高2から高3、高1から高2になる生徒諸君、頑張れよな」





体育館が拍手の音に包まれていく。離任式を終え、3Zで最後の話があったが高杉はそれに参加しなかった。いや、出来なかった。布団の上で寝転んだ。天井と睨めっこをしていたが外の空気を吸おうと高杉は、出掛けた。





「……はぁ」

「あれ??高杉??」

「…ッ!?銀八」

「会えずに別れるかと思った」

「…駅まで送ってやるよ」

「おっ、サンキュ」





銀八は、ニカッと笑い高杉もそれにつられるかのように微笑んだ。駅から徒歩たったの15分。その15分が高杉にとってとてつもなく長くかんじた。駅に着くなり銀八は切符を買い、何も言わずに5番乗り場まで銀八を送る。高杉は、このまま別れる訳にはいかないと思い話そうとしたが内容が思い浮かばずにいると銀八から声をかけてきた。




「なぁ、高杉?」

「…あ??」

「俺さ、お前に初めて会った時、見た事あるなあって思ったんだけどよ、俺達どっかで会ったか??」

「―…!?」

「見た時、懐かしく感じたんだけど…」

「…き、気のせいだろ」




そっかと言い笑う銀八。高杉は、何故そう言ったのか不思議に思った。言えばいいのに、前世で会ってるからだとかじゃなくて、好きだとたった一言言えば良かったのに、と高杉は頭の中で思っていた。



「高杉……」

「…え??」




銀八に抱き締められる形で高杉の首に冷たいモノが当たった。銀八が離れると、それあげる。と目を細めて言う。首元を見ると、指輪を掛けているネックレス。




「銀八…コレ」

「部屋片付けてたら見つかったやつ。俺が大事にしてた奴だ」

「なんで、大事なやつを俺に?!」

「お前だからだよ。良く分かんねぇけどお前には、俺を忘れてほしくない」

「…ッッ」

「何言ってるんだろうな、俺。嫌ないい―…」

「貰う!絶対ぇ大切にする」

「…ありがと」




少し驚き笑った。その笑顔にズキッときて、治まっていた涙がまた出てきそうになった。電車が来るベルがなり、銀八はついに来やがったな、と呟く。銀八が後ろにいる高杉に振り向きいつもと変わらない笑顔を見せた。




「またな、高杉!」

「あぁ…向こうでも頑張れよ、銀八」




無理に笑いそう言うと、おぅ!!と言い電車に乗り込もうとする銀八の袖を掴もうとしたがその手を止めた。プシューとドアが閉まり銀八が車内から手を振り高杉も小さく手を振る。見えなくなるまで見送り、高杉はその場にしゃがみ込み泣いた。駅には高杉以外誰もおらず高杉の泣き声だけが悲しく響き渡り、泣く高杉の首には、光る指輪がぶら下がっていた。








「またな」とバイバイした。
その「またな」を信じて
貴方の笑顔に逢える日を
期待している俺がいた……。








*fin*
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名無し様、お待たせしました!!
輪廻転生の3ZVer.完成しましたww
また、後ほど金魂Ver.の輪廻転生を更新しますので待っていて下さいww


その前に、こんな話ですみません;;(汗)

悩んで悩んで悩んだ挙句、この話になっちゃいましたが、輪廻転生とあまり関係ないじゃん!!と思うかもしれませんが、それは目を瞑ってやってください;;←


リクエストありがとうございましたvV


11.1 冬夜

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