記念リクエスト
□さようなら
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「…は?」
「いや、マジ頼む」
「お前の仕事が違うだろうがよ…なんだよホストクラブとか」
「散歩中にチャイナ娘に無理矢理入れられたんだよ。人数が足りねぇからって」
「それは分かったけどよ、何で俺もなんだよ」
此所、万事屋晋ちゃんに久し振りの依頼が来たかと思えば高杉にとっては気が乗らない話。元々過激な仕事しか受け入れない性分であるが、あの土方十四郎がしつこく頼んでくるものだから仕方なく引き受けた。
「ちっ…依頼料たっぷり貰うからな」
「さんきゅ、高杉」
「ふん…」
高杉が出掛ける分、従業員の来島また子と河上万斉に後の事は頼み土方とともに出掛けた。隣に歩く土方を横目でチラリと見、高杉はフッと笑った。
おかしな光景だな、おい。昔は敵同士だった奴と隣り合わせで歩いてるとか笑える。
そう、高杉は輪廻転生として生まれ変わったのだった。昔は、世界を滅ぼそうとした過激派攘夷浪士.高杉晋助として活動していたが今は、万事屋と言う何でも屋。依頼料を払えば何でもする。
…最近感じる。あいつの仕事だったコレにこうゆうのも悪くないと。
あいつと言うのは、前世で付き合っていた坂田銀時の事。彼もその時、高杉とは違って人の助けをする何でも屋をしていたのだ。だが、今となって未だ銀時には会えていない。探してみる気にもならいでいると時は随分と経った。
「高杉、此所だ」
「此所…歌舞伎町じゃねぇか」
「この先にホストクラブ:『柘榴』っつーのがあるんだ」
「渋い名前だな」
「だろ…俺もそう思った」
「どうゆう事ヨ、トシ」
バッと後ろを振り向くとチャイナ娘がムスッとした表情で見ていた。高杉は、なんだコイツと見下ろしていたが土方は真っ青だ。
「土方、なんだよこの餓鬼は」
「柘榴のオーナーだ」
「へぇ、コイツが。って……神楽??」
「…お前、どっかで会ったアルか?!」
「…いや、人違いだ」
高杉は、目を逸し頭を左右に振る。前世にいた神楽に似ていたものだからかやけに反応してしまった。神楽は万事屋の一員で後一人新八という少年がいた。
「オーナー、人数が足りねぇっつーから手伝い人連れて来たぜ」
「見るめがあるナ。なかなか、カッコいいヨ」
「そりゃどうも」
「口はアレだけどナ。まぁ良いヨ。ついて来るヨロシ」
一足先に歩いて行く神楽について行くとホストクラブが見えて来た。その中に入る前に名前を聞かれ渋々答えると分かった、と言い中へ入るとズラリとホストが立っていた。
「金ちゃん、いるー??」
「はい、はーい」
少し奥の部屋から声がし手を振りながら出て来た。高杉は、最初はどうでも良いから早くしろと言う雰囲気で居たが次第に近付いてくる金髪の男に目を見開かせた。
「金ちゃん、紹介するヨ。手伝い人の高杉晋助。一日面倒見てくれる??」
「OK〜、我が命にかえてもww」
「ヨロシクネ。よし、開店まで後僅かアル。準備するヨロシ」
神楽が言うと周りの男性が一言あげ持ち場の整理やワインなどの整理をし始める為に散らばり、金髪の男と高杉だけがフロントに立っていた。
「えーと、柘榴のNo.1ホストの坂田金時でっす。よろしくね、高杉」
「……あ、ぁ」
―……ッ銀、時??
†さようなら†
「お、なかなか似合ってんじゃねぇか」
「うるせぇ。野郎に言われても嬉しくねぇ」
「相変わらず酷ぇ言い方だな」
そう笑う土方に高杉もつられて笑う。スーツに着替え包帯で巻いていた左目は眼帯となった高杉は別人のようだった。店に入って来た客と目が合うと、ようこそいらっしゃいました、と礼をし微笑むと歓声が上がった。
「高杉〜」
「……??」
「ご指名されてる」
声がした方向に視界を移すと目立つ金髪が手を振って知らせていた。
「客からの指名だとよ、行ってこい高杉」
「でもよぉ…」
「ホラ、早く行けよ」
「…ちっ」
「客にそんな態度とんなよぉ」
「分かってるっつーの!!」
ぎっと土方を睨んでやるて土方は笑い手を振る。ふんとそっぽを向きコツコツと金時と客がいる席へ歩いた。
「ご指名ありがとうございます、晋助です」
「わぁ、もろ私好みぃ」
と二人のうち一人が言った言葉にゾクゾクと鳥肌が立つ。女と絡むのが元々苦手で勿論敬語も苦手だ。
「今まで見掛けなかったけど新入りなの??金さん」
「そうだよ。今日、入って来たんだ」
「手伝いでな」
と、金時に向けて言うと目を丸くさせ笑った。それにつられて女性二人も笑った。笑われた高杉は、何がおかしいと眉間に皺を寄せていた。
「この子可愛いわね、金さん。いずれNo.1取られちゃったりして」
「えー、まじか!!ヤダよ、俺〜。こんなチビに取られるなんて」
「……黙れ天パ」
「あれ、今小さい声で酷い事言わなかった??晋助くん」
気のせいだと適当に答え女性一人の相手をした。だが、いくらこっちの仕事に集中しても隣りでイチャついている客と金時が気になり仕事にならなかった。客に、ちょっと席外しますと一礼をし外へ駆け込んだ。
あれは…絶対銀時の生まれ変わりだ。
性格も…喋り方も全く同じだ。
やめてくれ…違う奴とイチャつくな。
今の俺にとって一番辛い光景なんだよ…。
せっかく会えたお前は…やっぱり覚えていなかった。
「気分悪いの??」
「…ッ銀と………金時」
「銀じゃないからね。どっかのモジャ髪も言うけど」
「客ほったらかしていいのかよ」
「お互い様でしょ」
確かにそうだな、と小さく呟き店の中に入ろうとすると金時が腕を掴んだ。高杉は、立ち止まり何だよ、と金時を見る。と金時が心配そうな顔をしていた。やけにズキンと胸が痛んだ。
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