記念リクエスト

□パズル
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そこは…多分、人生で地獄だった。
死体がゴロゴロとあちらこちらに転がっていて、それは無様で悲惨な光景だ…。死臭の匂いに包まれて、何度か吐き気に襲われた事もある。だが、もう慣れてしまった。






慣れるにつれて、誰もが気を狂い始めた。
俺も…銀時も…ヅラも…辰馬も…みんな。
自ら命を絶つ者もいれば、がむしゃらに斬りかかる者もいた…。







その光景は…、
目に焼き付いて放れる事などなかった。









†パズル†








「晋助…大丈夫か?」

「ん?…あぁ。大丈夫」




今は、午前を通り過ぎ午後ぐらいだろうか。
銀時と高杉は、洞穴の中にいた。勿論、戦は終わっていない。今も仲間が闘っているだろうが、高杉が怪我を負った為、銀時が支えながら辿り着いたのがこの場所。此所は、怪我した奴がいれば軽い手当てができるように、と桂が見つけ救急箱を置いたのだった。




「銀時が止めてくれなかったら俺ァ、きっと死んでいただろうな」

「…死なさないよ。絶対」




そう、高杉は我を忘れ天人の群れに飛び込んで行ったのだ。それは、自殺行為にも繋がる。
銀時は、そんな高杉を見掛け急いで高杉が闘っている天人の群れに駆けつけたのだった。




「間に合って良かった…」

「……銀時」




銀時は、高杉を引き寄せ自分の胸元に押し付ける。その手が微かに震えているのだと分かった高杉は、一言謝り背中に腕を回した。少しして銀時の震えが止まり、二人は再び刀を持ち仲間が闘う戦場へと向かっていった。






『見ろよ!!あそこに白夜叉と鬼兵隊総督が居るぞ!!』

『殺っちまえ!!』





戦場に辿り着くなり天人共に歓迎された二人は、背中を合わせた。





「銀時…死ぬなよ」

「お前こそ、我を忘れんなよ」

「そん時ァ、お前が止めてくれんだろ??」

「あのなぁ…」

「そして、お前を止めれるのも俺だけだ」

「…フ、ごもっとも」






雄叫びをあげ銀時と高杉は、天人共へ駆け込んだ。鋭利な刃物が肉を引き裂いていく。嫌な音が、耳に障るのを感じ肉を引き裂く感触も伝わってくる。返り血を浴びながら襲ってくる天人を斬り殺す。




「…ちっ、嫌な感じだ」




また、気を呑み込まれそうだ。
ある感情と共に…。『快楽』と言う感情に。
天人を斬っているとだんだん『快楽』になってしまう自分がいて、それを止められないのに腹が立つ…。





ドシャアと何かが崩れる音がし振り向けば高杉はギョッとした。銀時が、地面に膝を付けているのだ。その横腹には血がドクドクと出ていた。銀時は、殺られたあと無理に動いていたが限界がきてしまい立っていられなくなってしまったのだった。




「く、そッ…あそこで油断しなかったらッ」

『死ね、白夜叉ァァ』

「銀時ッッ!!」




高杉は急いで銀時の元へ行き、それを自分の刀で受け止めた。だが、その衝撃で怪我をしていた肩の傷が広がり血が飛び散った。それが、銀時には高杉が殺られたように見えてしまい目を大きく見開いた。一方、高杉は受け止めている天人の先にもう二体いる事に気付き焦り始める。両手が塞がってしまった今、高杉には不利だ。




「くっ……ッわ!?」

『……ぎゃ!!』




刀を受け止めていた為、攻撃出来ないプラス肩の痛みに顔を歪ませていた高杉に二体の一体が高杉に向かって刀を振り降ろしてくると同士に、高杉の横から刃物が通り過ぎ高杉が受け止めていた天人の頭に突き刺した。勿論、その天人は即死だ。残りの二体は、ある"もの"を見て情けない声をあげ逃げ出した。高杉は首を傾げ、後ろ姿を見ていた。




「ハァ…助かった。大丈夫か??銀と―…ッ?!」

「…ろす、殺す。皆殺しだ」

「…銀時ッッ!!?」




銀時は、瞳をギラギラさせ、いつもの優しい笑みとは違い獣のように笑っていた。様子が違うと気付き手を伸ばし掴もうとした時には遅く銀時は天人が逃げた方向へて走り出しており、手は掴んだ感触はなく空を切った




「待て……銀時ッッ!!!」




ポツポツと振っていた雨が次第に強くなっていく。高杉は、刀を握り銀時が走って行った方向へ足を運ばせた。




馬鹿野郎…俺があんなのに殺られっかよ!!
言った奴が我を忘れてんじゃねぇよ!!







壊せ…壊せ、こんな天人がいる世界など壊してしまおう。そして、そんな天人など殺してしまおう。晋助を怪我させようとする奴は、殺してしまえ。







銀時は、行く手を阻む枝が邪魔で思わず抜刀し、切り落とす。ああ、これがアイツ等の首だったら、そう思うと銀時の口元は自然と持ち上がった。素早く鞘に刀を戻し、逃げて行った天人を追う為、走り出す。





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