記念リクエスト
□すべてに…
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しくじった…。
俺とした事が…
こんな罠に引っ掛かるなんてな。
「ようやく毒が効いてきたようじゃのう。アホには毒も効かんのかと思うたわ」
「どうやら酒がまずかったのは男に酌してもらったからだけじゃなさそうだな」
京次郎の掛け声と共に襲いかかってくる者たちを、銀時はよろめきながら闘った。
だが、毒が回った身体は鈍くて重いため自由には動かせず銀時は、鋭利な刃物で斬らなれてしまう。さらに、周りの者たちにしか集中してなかった銀時は、京次郎に後ろから発砲され橋から落ち川へと落ちてしまった。
身体が痺れて動かねぇ…。
俺…もう駄目かもしんね。
†すべてに…†
「…ぅ」
目が覚めると見知らぬ天井であった。見た感じは、何処かのホテルであろう。銀時は、何故自分が此所にいるのか分からず、少し前の記憶を思い出していた。すると、襖がススーっと開き視線をそちら側に向かすと、派手な着物で身を包み、片目を包帯で巻いた小柄な男性が立っていた。その手には、水が入った桶があった。どうやら、その男性が銀時の看病をしていたようだ。
「た…高杉!!!?」
「クク、バケモンが出たような発言だなぁ。
にしても、3日もよく寝たな。」
「何で、おめぇが此所にいんだよ……ッ!」
銀時は、高杉がいる事に驚き起き上がろうとした途端、身体に激痛が走りスポリと布団に戻って行った。高杉は、はぁと溜め息をつき、銀時の目を見た。
「傷がひでぇんだ、動くな…。たくッ、俺が解毒剤打たなきゃ、てめぇ毒で死んでたんたぜ」
「…まじか」
「はぁ…かつて白夜叉と恐れられていた者がこの様か。白夜叉の名が泣くぜ」
「白夜叉は消滅しました」
「ハッ、ほざいてろ」
「何だよその言い方は……よ゙ッ?!」
銀時は、ムッとなり高杉に一言文句を言おうとしたら、高杉は、先程の桶の中にあったタオルを絞り銀時の顔に押し付けたのだった。
「大人しくしとけ、天パァ。熱もあんだぞ」
「…お前が、俺を??」
「……あぁ。びっくりしたぜ??散歩してたら、おめぇが川からドンブラコー、ドンブラコーっと流れてきたんだからな」
「それツッコむべき??いや、ツッコむべきだよね?!銀さん、桃太郎な訳?!つか、お前がふざけたの気味悪い!!」
「なんだよ、俺がふざけちゃいけねぇのかよ」
「そ、そんな事ないよ。ただ、キャラ少し崩壊したから…」
高杉は、銀時を睨み付け、死んじまえ、と呟いた。高杉の言う通り、計画を立てるのに頭がパンパンになった高杉は、気分転換に散歩をしていたのだ。川に目をやると月が水に映り、綺麗だな、と思っていると。銀髪の男が流れて来たため、高杉は思わず二度見してしまう。急いで川の側の道に降り銀時を救出したのだった。
「つー訳だ。感謝しろよ」
「ありがとよ。お前に救われるなんてな…思っちゃいなかったぜ」
「ホントは、シカトするつもりだった」
「おいぃぃぃいぃぃぃ!!!」
「……冗談だ」
高杉は、フッと笑ったがすぐ無表情になり煙管を取り出し吸い始めた。銀時は、俺一応患者なんだけど…と言うと高杉は、銀時をガン見し煙管を口から外すと、フゥ、と煙を銀時の顔に吹き付けた。勿論、銀時は噎せる。
「ケホ、ゲホッ、何すんの?!」
「患者ごっこしてる場合じゃねぇだろ??」
「……そうだったな」
そうだ…。
今からあの男に仕返ししに行かねぇとな。
軋む身体をゆっくり起こし白い着流しを羽織ると木刀を腰に差した。高杉は、その様子を見つめ目を閉じた。
「………気をつけろ、よ」
「…高杉?」
「解毒剤打ったとしても、また毒が回る可能性だってある…。何より傷が酷い」
「心配、してくれてんの?」
銀時がそう言うと高杉は、ハッとし、ぷいッとそっぽを向いた。耳まで赤くさせた彼を愛しそうに見つめ、そっと抱き締め包み込んだ。
「おぃ…次会った時ぁぶった斬るっつた奴が何やってんだぁ??」
「お前こそ、敵のくせに助けて看病して、何心配までしちゃってんだよ」
「ッるせ…天パァ!!ミンチにしてやらぁ///」
銀時から逃れようと高杉は、ジタバタ暴れるが敵わず逆に疲れてしまい、諦めたのだった。久し振りの銀時の体温に高杉は、頬を最大に赤らめ素直に収まっていた。銀時も、高杉と同じで居心地が良かった。
「高杉…もう少しだけこのままでいい??」
「……ケッ、勝手にしろ」
そんな口を叩きながらも高杉は、そっと銀時の着物を握り締めた。
「じゃ、いっちょ行ってくるわ」
「……逝ってこい」
「いや、そっちじゃないから」
靴を履きドアノブを掴む銀時に、高杉は口を開けた。
「…今日、俺ァ此所に泊まるつもりだ」
「…え」
「全部終わったら戻って来いよ…。酌ぐれぇしてやんぜ??」
「おめぇなら酒が美味く飲めそうだな」
へぇ、と高杉は言い口元を吊り上げて笑う。
銀時もつられて笑い高杉の頭を撫でると引き寄せた。柔らかい感触が唇に当たっては離れ、また当たる。それを何度か繰り返した。
「じゃあな」
「…あぁ」
「美味しい料理の後、デザートもよろしく」
「デザートなら付いてんぜ」
違う違う、と手をヒラヒラ振る銀時に高杉は首を傾げる。が、次の発言に高杉は顔を真っ赤にさせた。
「デザートは、"お前"だからww」
「―…なっ!!」
「行ってきまーす」
パタンと閉められた扉を見つめ唖然としていると、再び扉が開かれた。銀時は"逃げるなよ"とだけ言うと次は本当に出掛けて行ってしまった。高杉は、ぶつぶつ文句を言っていたが、それはなくなり今は口元が自然に笑っていた。
お前の声、お前の笑顔、お前の優しさ…
俺ァ、お前のすべてにベタ惚れだよ。
(よォ、誕生日パーチー?おめでとう)
(てっ…てめェは…!!)
(水くせーじゃねぇか。パーティーがあるなら俺も呼んでくれてもいいだろ)
(こないだのプレゼントのお返し…キッチリ返させてもらうぜ)
*fin*
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花梨様、お待たせしました!!
京次郎編でした!!
花梨様には大変申し訳ないんですが、地雷亜編は話が似たようになりそうなのでやめさせて頂きます;;(汗)
ですが、感謝していますww
リクエストありがとうございましたww
1.24 冬夜