記念リクエスト

□この先、ずっと
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教室内に水音と甘い吐息が響く。教室には二人しかおらず、時計の針は午後6時を差そうとしていた。床に押し倒されネクタイで両手首を縛られているのは銀八の恋人である高杉晋助。その上に跨がっているのは同じクラスの土方十四郎である。




「…んはッ、ひ、方。なん…あぁッッ」

「……」

「何と…か、言えよッ!!……ひァッ」




どうして…??
何で、何でだよ…?!
俺たち今まで普通のダチだったじゃねぇか!




「高杉…好きだ。銀八なんかやめて俺にしろよ!!!」

「あっ…あ、やめ…土ッ…トシッ!!!」

「俺の方がお前を幸せに出来る!!」

「んッ…やあぁ、ぁあぁぁ!!」





なぁ…俺たち、もう…あの頃みてぇにふざけて笑い合う事が出来ないのか??








†この先、ずっと†








「晋助、おはようごぜぇます」

「……はよ」

「何でぃ、元気なさすぎまさぁ。晋助も土方さんも」

「…ッ!」




高杉は、土方の名前を聞き肩を揺らした。昨日の事を思い出したからだ。土方に、無理矢理犯されてしまった事を。




どうしよう…。
トシの顔が見られない。
というか…、話ずらい。




高杉は、昨日の記憶を逆上らせると顔を赤らめ机に伏せた。高杉は、3Zの担任であり国語教師である銀八と付き合っている。その事は、クラス全員が知っている、と言っても良いぐらいだ。




「くぉーら、おめぇ等ぁ予鈴とっくに鳴ってんぞバカヤロー。席つけー」

「予鈴なってんのに15分待たした教師が言う事じゃないと思いますけど…」

「るせぇな。眼鏡へし折ってやろうか??」

「目茶苦茶だぁ!この教師、目茶苦茶だよ!!」




銀八とツッコミ担当、新八の日々毎日行われる会話。銀八は、予鈴がなっても絶対遅れて来るのだ。理由は、簡単。糖分摂取しているからだ。




「連絡事項は、だな……忘れた。えー、掃除当番は、ゴリラと志村姉弟、170cmトリオな」

「先生〜、神威がいつも掃除しませーん。一人でやらせるべきでさぁ」

「うん、おめぇもな」




銀八は、いつも掃除をしない神威を注意した沖田に軽いツッコミをした。彼も、掃除をしないからである。毎日がこんな感じでZ組は平和「ボケ」なのだ。




「あー、それと高杉。今から話あっから国語準備室に来ーい」

「…??あ…あぁ」




高杉は、一瞬驚いたが素直に頷いた。朝学が終わると席を外しZ組から出た。目的地の国語準備室に着くと高杉は、ドアを開けた。普通なら目の前には部屋が広がる筈なのだが黒ネクタイと皺が入った白衣が飛び込んできた。高杉が来たのに気付いたのか、銀八がすぐ出口に立っていたからだ。




「なんだ、銀八か。びっくりした」

「……」

「銀八…?」




銀八は黙って教え子であり恋人である高杉を見下ろしていた。その目付きは鋭く、高杉は硬直した。すると、いきなり髪を鷲掴みされ国語準備室に導かれた。




「…ッ!?…痛いッ痛ぇよッ、銀八ッッ!!!」

「…ぎゃあぎゃあうるせぇよ」

「…うぁ!!」




ギシッと色褪せたソファが唸った。ソファに投げ倒されたのだと気付いた時には銀八が馬乗りになり、高杉は逃げる事が出来なくなっていた。




「銀ぱ…」

「昨日はラブラブだったねぇ。どうだった??多串くんのテクニックは気持ち良かった??」

「―…ッッ!!?」

「バレてないとでも思ってた?…見縊んなよ」

「ち、違ッ…」

「言ったよな??喋るのは良いけど肌は重ねるなって、銀さん言ったよね」




高杉は、銀八が怖く顔を歪ませた。まさか、見られてるとは思っていなかったのだろう。銀八は、教卓に忘れ物をし取りに行ったのだが、クラスから聞き覚えのある喘ぎ声が聞こえたのだ。まさか、と思い隙間から覗いてみると、土方と高杉が性交していたのだった。




「それとも何??俺に飽きた訳??」

「違う、違うんだ銀八!!誤解だ!!」

「じゃあ、何であいつとヤったの??」

「そ…それは」




…ッ言えない。
無理矢理犯されただなんて。
銀八が土方に何しでかすか分からない。




「もう…いいよ」

「……え」

「無理に嘘の理由探さなくても…」

「違!!……ぅ」

「さっきから"違う、違う"うるせぇよ。それしか言えないのかな、高杉くんは??え??」




銀八は高杉の口を片手で塞ぎ黙らせる。目の奥が熱くなり、高杉はホロリと一筋の涙を零した。銀八は、見た時は目を丸くさせたが、目を細め鼻で笑った。




「それで土方を誘った訳か…」


違う…。


「俺なんかより土方が好きだったんだ」


違う…。




違う、違う、違うッ!!!
俺は、銀八が好きだ。本気で愛してるんだ…。





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