記念リクエスト
□その日の空は晴れていた
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「…ヤらせろ」
「………はぁ??」
「良いから!!溜まってんだよ!!!」
「遂には頭までパァになったんすか!?」
「欲求不満なん―…」
「また子に近付くんじゃないアルぅぅぅ!!!」
「ぎゃあぁぁあぁぁあぁ!!!!」
†その日の空は晴れていた†
「いででで…!!!」
「馬鹿ですね、銀さん」
「馬鹿でござるな」
過激派攘夷浪士・坂田銀時。
彼は、「夜叉」という隊を率いている。
泣く子も黙る真選組をも困らす輩だ。
攘夷浪士で最も危険な男だと言われている彼は、かつて、白夜叉と恐れられ誰もが銀時に近付かなかったし、銀時自身も誰一人心を許さなかった。攘夷戦争後、時間が経つにつれ心を許した者が出来、その者たちだけをつれ「夜叉」を結成したのだった。だから、こうして仲間の前では普通に過ごしているのだ。
「新八くぅん、もうちょい優しく手当て出来ない訳??」
「銀さんが悪いんでしょ??少しは反省して下さいよ、全く」
「拙者も新八殿と同じ考えだ」
銀時は、神楽に殴られた頬をさすりながら呟いたが、二人に心配されるどころか怒られてしまったのだった。銀時についていった者たちは、銀時を信頼し憧れている。先程の様に、ふざけてはいるが計画をたてる時や攘夷活動を起こす時の彼は嘘のように真面目になるのだ。
「ホントならまた子さんに、頭ぶち抜かれてましたからね。…僕は、二人の様子見て来ますから河上さん、銀さんをよろしくお願いします」
「承知」
はぁ、と溜め息をつき銀時は寝そべってしまう。内心、銀時は疲れているのだ。目の下の隈は酷い。夜叉の総督なのだからダラダラしていられない為、夜遅くまで、どうすればこの腐った世界を潰せるか、を考えているのだ。
それだけじゃなく、なかなか眠りにつけないらしい。そのせいで疲れが溜まっていくのだった。そんな彼を見て万斉は、何かを閃いたのか手をポンッと叩いた。
「銀時殿、欲求不満なんでござろう??」
「…そうだよ!!…てめぇなんか抱く気も起こらねぇからッ!!!」
「何言っとるのか分からんが…遊郭へ行けば良い」
「はぁ??遊郭ぅ?!」
「良い遊郭だと評判である所だ」
「…いやいや、馬鹿、お前馬鹿??俺、指名手配人。行ける訳ねぇだろ」
馬鹿、馬〜鹿、と連呼する銀時は小さな子供みたいに騒ぐ。それに比べて、大人しく冷静な万斉がよっぽど大人である。そんな万斉は、考えがあるのか話を続けた。
「その遊郭は…"夜桜"と言って」
「俺の話聞いてたぁ!!?」
「そこのNo.1が何とも言えない美しい方らしい。会ってみたらどうでござるか??」
「だぁかぁらぁ!!何なのお前?!嫌がらせ??!」
銀時がぎゃあぎゃあ騒ぐ中、万斉は立ち上がり、クローゼットの中からスーツを取り出した。近くにあった縁が赤の眼鏡と一緒に銀時に差し出した。
「……何??」
「コレ着て眼鏡掛ければ、テロリストとはバレまい??…頭を使うでござるよ」
「あ……なるほど」
「銀時殿はいつもこうだ。計画立てるのは上手くてもこうゆうのに弱い」
万斉はフッと笑い銀時を見た。銀時も苦笑いする。早く着替えろと言われ部屋から出て行った。バイクの鍵を持って出て行ったので連れて行ってくれるのだろう。それに感謝しながら銀時は着替えた。いつもは着流しを着ている為、着慣れないスーツに違和感を感じながら部屋を出た。
「銀ちゃん…どうしたアルか??その格好??」
「なかなかじゃないっすか」
「ホント??また子ちゃん??なら、俺と付き合っちゃう??」
「ふざけんな、くそ天パ。私は、アンタ好みじゃないっすから」
「銀ちゃん、また子からかうんじゃないアル。その口開かないようにしてやろうか??」
「……ごめんなさい」
身を縮ませて銀時は謝った。全くこの人は、と近くにいた新八は頭を抱えた。
「銀時殿、行くぞ」
「…へいへい、よろしく頼むよ万斉くん」
「何処行くんですか?銀さん??」
「んー??……秘密♪」
そう言い、銀時は万斉とともに出て行った。
今は、夕方。少しずつ、江戸の街を暗くしていく。万斉の後ろに乗り江戸の街を走る。真選組に見つからないよう人気のない道を通り、遊郭・"夜桜"へと行ったのだった。
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