記念リクエスト
□歪んだ愛が君を…
1ページ/3ページ
嗚呼…やっと手に入れた。
俺だけの―……黒猫を……。
もう逃がさない。
†歪んだ愛が君を…†
「……ぅ」
目が覚めると薄暗くて見知らぬ場所だった。両腕は後ろで縛られ、自由に動かせない。
それは、拘束している事を物語っていた。
高杉は、自分が何処にいるのか分からない。
取り敢えず上半身を起こそうとするが、頭に何とも言えない激痛が走り呻く。その激痛と共に、ある一部始終を思い出した。
銀色の髪を靡かせ、獣のような赤い瞳が暗闇に宿る。それは…正しく夜叉であった。
それは一瞬の事で、高杉は頭を鈍器で殴られたかのような衝撃を受け気絶してしまったのだった。
「―……っ?!」
まさか…あいつが!?
いや…そんな訳、ねぇか。
それより……気配に気付かなかったとはな。
ギィと錆び付いたドアが唸りながら開いた。
高杉は鋭い目付きで入口付近を睨み付ける。
薄暗い中、コツコツと靴の音を部屋に響かせ、電気をつける。天井にぶら下がる小さな電球が、薄暗い部屋を少し明るくさせた。
自分を拉致った本人を見て、高杉は己の目を疑った。その者は、頭の隅にある記憶にやはり一致する者。
「ぎ……ん、と…き」
「おはよ〜、高杉ぃ。よく寝れた?」
「…ッてめぇだったのか銀時!背後から襲って来た奴ぁ!!」
坂田銀時。万事屋のオーナーを営んでいる。
昔は、白夜叉と言われ皆から恐れられていた者だ。そんな彼と、高杉は攘夷戦争に参加していた仲間だったのだ。
今は、世界を守りたい銀時と潰したい高杉は、敵同士だ。
「油断していた高杉が悪ぃんじゃねぇか。ま、良いじゃん。痛い思いしなくて済んだんだし?…結果オーライっつーことで」
「てめぇ、何考えてやがる。俺を捕まえて幕府に売り渡す気か?」
高杉がそう言うと、銀時は間抜けな表情を取り笑った。こっちは真面目に言っているのに何がおかしいのか高杉には理解不能だ。
笑いながら、な訳ないじゃんと返された…。
じゃあ、何で、どうして?それだけが高杉の頭に駆け巡っていた。
「良いね、その表情」
「…銀時、何企んでやがる」
「……そのうち分かんじゃねぇの」
「……」
その冷たい瞳に高杉の背筋は固まる。
嫌な汗が流れる。心臓がバクバクと五月蠅い。そして、何より……銀時が怖く感じた。
「高杉ぃ、俺さ攘夷戦争ん時な、高杉に出来なかった事があんだよ」
「……な、に?」
「SEX…」
「―…なっ!!」
「おめぇの余裕っぷりな表情を歪ませたかったんだ。でもよ…気付いたんだ。…別に我慢しなくて良いんだ、ってな」
ゆっくりと近付く銀時に高杉の表情は焦りに染まる。側に来た銀時は、高杉の頬にまで手を伸し触れる。
それに高杉は瞼を固く瞑り肩を揺らした。
「ハハ、女みてぇな肌」
「ッ…からかうのも、程々にしろ、よッ…銀時ッ」
「もっと…」
「…は?」
「もっと抵抗しろよ、高杉」
「―…っ!」
背中に強い衝撃が襲い噎せる。オマケに後ろで束ねられた腕が擦り剥きヒリヒリする。
押し倒されたのだ。ニタニタと笑いながら、見下ろしてくる銀時を高杉は負けじまいと睨む。
「ふざけんなよ、てめぇ!」
「ふざけてなんかいねぇよ」
「黙れ!良いから俺をこっから出せ!!」
「…黙るのはてめぇだよ、高杉」
「…なッ……んんッ!」
高杉の顎を鷲掴むと己の唇を重ねた。
いきなりの事で高杉は目を大きく見開いた。
角度を何度も変え、キスを深くしていく。
高杉が苦しさを訴えても、銀時は一向に解放しようとしない。その逆で、更に激しいキスをしたのだった。
生理的な涙を流す高杉を見てようやく銀時は高杉を解放した。激しく噎せる高杉を銀時は満足げに見つめる。
「ケホッゲホッ……ハ、ァ」
「可愛い…」
「ッく、そが…。信じ、らんね、ぇッ!…死、ね」
「あれ?初めてだったディープキスは?」
「てめ…には、関係…ねぇだ、ろッ…こっから出せ!」
「ハ…その強気、何処まで続くかな?」
「…うぁ゙ッ!」
首筋をカブッと噛み付かれ、高杉は痛みに顔を歪ませる。そして、耳元で銀時が低い声で囁く。
「っとに、お前最高。銀さんの期待裏切らねぇもん。…ねぇ高杉」
「……ッ」
「お前を壊しても良い?」
「やめ、ッ…銀…時ッ!」
ブルリッと身震いをしたのだった。
両腕の自由を失った高杉は、口だけしか抵抗が出来ず銀時に、意図も容易く着流しを脱がされてしまったのだった。
.