短編

□アイスともう一つ…
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「あーつーいぃい…」

「……」

「ぁ゙ぁ゙あ゙づぅい゙ぃぃぃぃ!!」

「……」

「あぁ゙ーつ、」

「うっせぇえ!!!もっと暑くなるだろうがぁあ!」

「ぎゃばぁあぁああっ!!」










†アイスともう一つ…†










暑いの連呼していて高杉に殴られた銀時は、これ以上言うと殴る。という目で訴えてくる高杉の通りその日は「暑い」をあまり言わないと誓った。
最も暑い午前が終わっても暑さは少ししか和らがない。冷房の効いた教室に項垂れながらも、暑さと勉強のまさに地獄と闘っていたのも、やっと終わった。
チャイムが鳴ると生徒全員、ぐでーん。と机に伏せていた。




「うへぇぇ…」

「なあに情けねぇ声出してんだよ。銀時ィ」

「晋ひゃん。だって、あちぃもん」

「たく…情けねぇなぁ」

「そういう晋ちゃんは暑かねぇの?」

「………暑い」

「暑いんじゃねぇかぁあ!!!」

「うっせぇな!てめぇよりへばってねぇよ!」




うがぁ!と二人で騒ぎ始めた。
涼しいのか暑いのか微妙な冷房だというのに、さらに暑くなりそうだ。おまけに暑さで苛立ちもあり、生徒たちは他でやれよ。という目付きであった。
二人は些細な事で喧嘩するが、普段はバカップルである。銀時と高杉は高一の冬に付き合い始め、学年一のバカップルで有名だ。
銀時はいつも高杉にデレデレであり、それに対する高杉は中々感情を表さない。いわゆるツンデレである。高杉がデレる時は本当に時々しかないのだ。




「やってられっか!俺ぁ、もう帰る!」

「ちょっ…おい、待てよ。晋助!」




高杉は鞄を持ち、教室を出ていく。
銀時も鞄を持ち、高杉に続いて教室を出る。
二人が出た出入口を見た生徒たちは、まだSHR終わってねぇよ!とツッコミをいれたのだった。二人の耳に届く事はなかった。




「おい、悪かったって…晋助」

「………アイス」

「は?」

「アイス食いに行くなら許す」

「………」

「な…なんだょ」




何この子ぉぉぉおおおおっ!!
めっさ可愛いじゃねぇかぁ!
晋ちゃんっ!
それ反則だよ!!!
頬、若干赤く染めるとかぁ!
ギュッと抱き締めたくなるじゃないか、ギュッて!




「行かないのか、行くのかハッキリしろ!」




痺れをきらした高杉が、一人勝手に一人の世界に飛び立っていた銀時に話しかける。どうやら、苛立ち始めてるらしい。まだ頬を赤く染める高杉を見ていたい銀時だったが、これ以上返事を待たせていると高杉が帰ること間違いなし。
銀時は高杉の手を握り、下駄箱に向かう。返事なしに歩く銀時に、おい!っと高杉が言うと銀時は満面の笑みで振り返った。




「行こう!…銀さんもアイス食いたくなったし。晋ちゃんに許してもらいたいし!」

「……ふん」




もう…許してるけど。
真っ直ぐ帰るより、少しでも長く居たいだけだ。
口が裂けても言わねぇけどな。




高杉は少し前を歩く銀時の背中を見て、微笑んだのだった。
自分の手を握る銀時の手を握り返すと、銀時が振り返る。目が合えば嬉しそうに笑った。高杉は銀時の笑顔を好む。安心感を与えてくれる。
二人並んで下駄箱から出ると、自転車置き場まで歩く。
高杉は下を向き、ある感情に耐えていた。




「晋ちゃん。難しい顔してどうしたの?」

「なんでもねぇよ…」




言える訳ねぇだろ。
キス、してほしいだなんて。
くそっ!
じれってぇなぁ!!




「痛い痛い痛い!爪食い込んでるから!銀さんの肌に爪食い込んでるからぁあっ!!」

「………あ、悪い」




銀時の声により我に返った高杉は、銀時の手から自分の手を離した。
無表情で謝り高杉は黙々と自転車置き場まで向かう。銀時はその後ろ姿を見つめ、高杉が何か隠しているような気がしたのだった。




晋ちゃんって分かりやすいけど…。
たまぁに、分からない時があんだよなぁ。
俺はもうちょっと甘えて欲しい面があるだけどな。




そう思いもう一度、先を歩く一回り小さい彼を見る。
…が、先に歩いていた筈の高杉が銀時の目の前にいたのだ。銀時を覗き込むように睨んでいる。まぁ、銀時にとったら上目遣いに見える訳で…。
しかし、当の高杉はいくら待ってもやって来ない銀時を何度も呼んだのだが、何かを考えているのか反応を示さなかった銀時に若干、ご立腹のようだ。




「何度も呼ばせてんじゃねぇよ、天パァ」

「ごめんね。…ってその前にお前、今日、自転車登校?」

「……」




銀時の言う通りで高杉は最近、バス登校が多い。
理由は、暑いから。だそうだ。
高杉の家から学校は自転車登校しても良い範囲なのだが高杉は暑苦しい中の自転車登校なんて考えられない。と断固否定している。
冬も寒いからやだ。と言って自転車で登校しないのが高杉の決まり条約である。名付けて「高杉条約」だ!




「銀時ィ…俺が自転車なんぞに乗って来ると思うか?」

「思いません」

「なら決まった事、言ってんじゃねぇよ」




薄い笑みを浮かべ、ケラケラと笑う高杉を余所に銀時は嫌な予感を感じていた。銀時は考えはこうだ。

@高杉は自転車で来ていない。
 つまり…自転車は俺の一台だけ。

A今からアイス食べにいきます。
 アイス屋は学校から距離が結構ある。

B…という事は、二人乗りか!!?

Cそして漕ぐのは、俺か!!!?

…である。




「あのぅ…晋ちゃん?」

「あ?」

「勿論、漕ぐのは、お」

「当たり前だろ」

「で…ですよねぇ」




念のため、聞いてみよう。と思った銀時は高杉に尋ねてみた。が、尋ねる前に遮られ、満面の笑みで答えられては、反論できない。
高杉がたまに見せる満面の笑みがたまに怖く感じる銀時であった。銀時は口元をつり上げ笑うしかなかった。
はぁっと小さく溜め息を吐き、鞄のポケットからジャスタウェイのキーホルダーがついた自転車の鍵を取り出す。鍵を開ければ跨がり、後ろに高杉を乗せる




「あ゙ー、たくっ!あちぃなぁ!!」

「クク…ホントだらしねぇなぁ」

「あのなぁ…。こっちは漕いでんの!一人で漕ぐ時より倍は暑くなってんの!!分かる?!」

「ふーん?」

「何その、あっそ。みたいな返事!?うわっ、銀さん傷ついたわ!銀さんの心はガラスのハートで出来てんだぞコノヤロー!ちょっとの事でもヒビ入っちまうんだぞバカヤロー!」

「…きめぇ」

「グサッ!!」




うっうっと悲しむ銀時を後ろから見ていて高杉は笑う。
銀時の仕草一つ一つが面白くて愛しい。
空を仰げば、青空が広がっている。地上に暑さを降り注ぐ太陽を覆う程の雲もない。こっちの身も考えろよ。と意味のない事を高杉は心の中で愚痴ってみる。
そんな時、銀時の声が耳に入る。
前を見れば銀時はこちらに少し振り向いていた顔を正面に戻して呟く。




「もっと引っ付けよ。落ちるぞー」

「暑いじゃねぇか」

「落ちたら意味ないだろ。良いから引っ付けって!」

「……」




渋々だが、高杉はそっと銀時の背中に引っ付いた。
銀時のお腹に腕を回し、落ちないよう引っ付く。




心臓がバクバクと五月蝿い。
銀時にまで伝わってしまうようだ。




二人の体温が合わさって暑さが増す。
辛いことではあるが、二人は確かに今ある幸せを噛み締めていた。ミーンミーンッと近くから蝉の合唱が聞こえる。そんな中を二人を乗せた一台の自転車が通る。
高杉はもう一度、銀時の背中を見て、そのまま頬に引っ付けた。ギュッと力を入れて抱き締めたのだった。




少しだけ…
銀時の服から匂う甘い匂いから汗の匂いがした。










(なぁ…銀時)

(ん〜?)

(アイス食う前にさ……キスしろよ)

(まじか?!…晋ちゃんが考えてたのってキスの事だったり)

(…なんか言ったか?)

(ううん!晋ちゃん可愛いなぁって♪)

(クク…馬ぁ鹿)




*fin*
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久しぶりの銀高です!
どうでも良い&意味不明な話ですみません!(泣)

ただ私自身がアイスを食べたいがために書いた駄作です!アイスの話に学生銀高を付け加えたようなものです!(汗)


少しでも楽しんでもらえれば嬉しいです!

8.27 冬夜

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