短編
□別れの数だけ愛を知る
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「ホラ、手当てすっから脱げ」
「いや、大丈夫だ」
「何言ってやがる。顔色悪ぃ癖によ」
「………」
銀時の態度に高杉は、頭に来て銀時が怪我している一部、背中を思い切りブッ叩いた。すると、さっきまで、そっぽを向いていた銀時が「ぬぁぁぁぁぁッ!!」叫んだ。
「なななな、何しやがる。おまッ、俺怪我して」
「だから、手当てしてやるってのにてめぇが素直に従わねぇからだろ!!?」
「だからって……」
「あ゙…??」
「うん、お願いします」
諦めた銀時は、素直に上半身を脱いだ。そこには思ってた以上の酷い傷で、高杉は胸の奥が痛くなった。先程叩いた背中には鋭い刀で斬られたらしく肉が割れ血が流れていた。回りにもかすり傷も一杯あった。
「……手当て始めるぞ」
「………あぁ」
切ない…。悲しい…。胸が張り裂けそう。
俺が知らないうちに…こんな怪我して、こんな傷跡残していたなんてな。
「ほらよ…」
「…あぁ、さんきゅ」
上半身を羽織りふらつきながら玄関へと向かう銀時に高杉は驚き引き止めたが歩きを止めようとしない。
「そんな傷で出て逃げれるとでも思ってんのかよ!!?てめぇの事馬鹿だと思ってたけどそこまで馬鹿だとは思わなかった!!!」
「俺は、指名手配人だ!此所でのうのうといる訳にはいかねぇんだよ。仲間も待ってんだ。」
「んな事言ってる場合かよ!?運が悪かったらてめぇ死ぬかも―…」
「俺は、この世界をブッ潰すまでは死なねぇ!!先生を奪い、仲間も奪ったこの世界を潰すまではなッ!!!」
「ぎんとき…」
じゃあな、と言い出て行こうとする銀時の袖を高杉が後ろから掴みドアを開ける手が止まった。
「なぁ、銀時。行くなよ…。真選組からは俺が匿ってやる、だから…行かないで」
「信じねぇ…。そう言って真選組に手ぇ貸すんだろ。その手には乗らねぇぜ」
「言わねぇよ。…だから、信じろよ」
「……」
「なぁ…銀時ッ」
お願い…お願いだから、行くなよ。今のお前を出て行かす訳にはいかねぇ。頼むよ、銀時。
「……ぅ」
「ホラ見ろ。布団かすから横になれよ」
「はは…あんな事言った癖に銀さん格好悪ィ」
「ホラこっちだ」
渋々頷き寝床へと行き、畳まれた布団を高杉は敷き銀時を寝かした。銀時は、ふぅと溜め息をついた。
「高杉…少し寝たら出るから…」
「傷が直るまでいても良いんだぜ…??」
「何言ってんだ…。てめぇこそ立場をわきまえろよ。指名手配人を手助けするなんてよ、普通なら有り得ねぇぜ」
「…言っただろ、お前は俺が匿う。それ以外どうなろうと関係ない。ゆっくり休めよ」
そう言い高杉は、襖を閉めた。銀時は、回りを見渡した。
「(こんなとこで寝てんのか…)」
銀時は、今まで疲れており何分もしないうちにうとうとし始め眠りについた。
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