短編

□傍らに、君
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※高杉さんの腕がないのは私的に嫌だったので引っ付けた事にしました。嫌な人はバック プリーズお願いします。
それでも良い方どうぞ。







―カランッ





刀が地面に落ちる音が響き渡った。さっきよりは収まったが相変わらず周りは火の海だ。
揺れる炎の影に混って人間二人の影があった。それは、攘夷浪士・高杉と万事屋・銀時のモノだった。先程の音は高杉の刀だ。銀時に刀で振り払われ高杉の刀は向こうの地面に転がったままだ。高杉は足元がフラつき地面に片膝をついた。どうみても決着は銀時の勝ちを物語っていた。




「高杉…終めぇにしようや。左腕を失ったお前に…もうこの世界をブッ潰す事なんか出来ねぇよ。」

「………ッ」

「…高杉」




高杉は、俯き悔しさのあまり地面に爪を立てており血で滲んでいた。銀時も片膝をつき高杉の肩に片手を置いた。一瞬ビクッと肩を揺らしたが顔をあげようとしない。銀時の予想では手を振り払い睨んでくるかと思っていたが外れていた。




「……行けよ。てめぇには帰る場所があんだろ。俺なんかほっといて餓鬼共のところでも真選組のところにでも行きやがれ」

「……高、杉」

「てめぇの言う通り…もう無理なのかもな。…だったら俺ぁ、此所に残る」

「…あっそ」




おめぇがそう言うなら止めはしねぇよ。そう言い加えると銀時は立ち上がり高杉に背を向け歩きだした。銀時の気配がなくなり高杉は、ふらつく足を抑え立ち上がった。





「…クク、間違ってたのかねぇ俺ぁ。先生を仲間を奪った奴等に逆らう自体間違っていたのかぁ??……間違っていたと言いてぇのかよ」





酸素を吸って二酸化炭素を吐き出す。その繰り返し。途端に、何処か近くで火と何かが混ざり合って爆発した。高杉には、遠くから聞こえた感じがした。




ハッ、どうやら俺もここまでのようだな。爆発して死ぬのも良い…だが、その前に気ィ失っちまうか??視界がさっきからぼやける。血の流しすぎだろうな。






もう、どうでもいい……






なんか、疲れた…………。






高杉は、ゆっくりと目を閉じると足の力もゆっくり抜けて行き操り人形の糸が切れたかのように崩れていった。がそれを遮った者がいた。またしての爆発で銀色の髪が揺れた。





「…間違っちゃいねぇよ。
ホントなら……おめぇが正しいんだ。」





高杉をほっとく事が出来ない銀時は、行ったフリをし気配を消して隠れていた。このまま高杉と死ぬのもいいと考えた、が高杉が崩れ落ちる瞬間を見て飛び出して抱えていたのだった。




「……行こっか。てめぇと二人で死んでも良いって思ったけどよ、やりてぇ事…一杯思いついたんだ。……お前と、な」







†傍らに、君†







目が覚めると何処かの家の天井だった。一つだけ分かったのは死んでいないという事。傷は綺麗に手当てしていた。左腕を見るとないはずの腕がついていた。まだ、動かせないが…。高杉は、目を丸くさせた。隣には刀が置いてあって高杉は、辺りを一周見渡した。すると、襖が開きそこに立っていたのは銀時だった。




「銀、時」

「おぉ…起きたのか」

「…なんで助けたんだよ。余計な事しやがっ……痛っ!」

「何で死ななきゃいけねぇんだよ!!馬鹿ですかコノヤロー!!!」

「てめぇに馬鹿って言われたくねぇ。つか、病人殴るなよ」




愛の鉄縋ですぅ!と銀時は言い、高杉が寝ている間に作ったお粥を渡した。高杉は、素直に受け取りしばし銀時特製のお粥に目を通していた。




「毒、とか入ってねぇだろうな」

「コラコラ、晋助くん。銀さんが心込めて作ったお粥になんて事言うんだよ。」

「……冗談だ。なぁ、なんでねぇ筈の左腕があんだ??」

「…お前を抱えて逃げる最中によ左腕を見つけてさ。病院連れてったらなんか縫い引っ付けたらしいぜ。あと少しでも来るのが遅かったら無理だったってよ。引っ付く可能性もあるみてぇだし。良かったな」

「病院…連れてったのか?」

「当たり前じゃん!!いくら銀さんでもあんな大怪我の手当ては出来ないよ!!だってよ血がダラーだぞダラー!!きゃー怖い!!」





良いから少しでも食べなさい!!と言われ、お粥をスプーンですくい口の中へ入れた。喉に通りやすく食べやすかった。おかわりあるから、とミニ鍋蓋を開けると少し残っているお粥があった。高杉は、軽く礼を言い黙々と食べた。




「ホントはよ、入院させるのが一番良いんだけどよ。それじゃあ落ち着かなくてな。一応まだお前真選組に狙われてるからよ。」

「……」

「でも、安心しろ。そこの病院は、裏組織だからよ。口が裂けても言わねぇよ」

「…そうか」




なんで裏組織の病院の場所を知ってんのかは気になったが…聞かない事にしよう。
こいつのおかげで…左腕が戻るなんてな。確かに、片腕だけじゃ不利だった。…感謝するべきなんだろうな。




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