短編
□一日彼氏!?
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「今日は何の日フッフゥ〜♪♪」
「……どうしちゃったの??神楽ちゃん」
「今日は何の日と思うアルカ??」
「何の日って…おーい新八くーん、今日何の日だぁ〜??」
「11月3日ですか??文化の日じゃなかったかな??」
「ふぅん…そうだとよ」
「違うアルゥゥ!!一昨日来やがれコンチクショォォォォ!」
「「ぎいやあぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」」
鋭い音と悲惨な叫び声と共に襖が勢い良く開き、神楽に殴られボコボコになった銀時に当たる擦れ擦れに刀が柱に突き刺さった。銀時は、情けない声をあげ横目でおそるおそるある人物を見た。
「朝っぱらからうっせぇんだよ…こっちは昨日てめぇが散々ヤったせいで疲れてるってのによぉ、」
「し、晋ちゃん。瞳孔開いてるよ?どっかのマヨに似ちゃってるよ!?」
「そんなに死にてぇのならお望み通り死なせてやるよ」
「晋助!ちょっ、待ってタンマ!!タン…」
「小賢しいわぁぁぁ!!!!!!」
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!!!」
11月3日午前10時15分
晋ちゃんから本日一度目の愛の鉄槌を食らいましたvV……これがかなり痛いんです。
†一日彼氏!?†
「あ…??今日が何の日かで騒いでただぁ?」
「そうなんです。神楽ちゃんが聞いて来たものですから、文化の日じゃないかって答えたらこんな目に」
新八は頭に包帯、頬に絆創膏を貼っていたが銀時は神楽に引き続き高杉の攻撃を食らったもので顔面を包帯でグルグル巻きにされていた。神楽は、ふてくされて定春の上に乗って酢昆布をしゃぶっていた。
確かに今日は文化の日だが…わざわざ聞いて来るのなら一つしかねぇだろ。つか、何で知らねぇんだよ。万事屋たったの3人だろうがよ…それくらい覚えとけよな。
高杉は、立ち上がり定春と神楽の元へ足を運ばした。銀時と新八は顔を見合わせ首を傾げた。
「おぃ、チャイナ」
「……<話かけないでヨ>」
「…おめぇは、ヅラの化け物ペットか」
「……<エリーでもいいよ>」
「……(ちっ…これだから餓鬼は)」
ガシガシと寝癖のついた頭を掻き溜め息をつく。目が合った定春に頭を撫で高杉も定春の上にあがり神楽の所で座った。
「<慰めなんていらないヨ>」
「面倒くせぇ事してねぇで口で話せ、口で」
「……むい?!」
横にいる神楽の頬を片手で抓ると神楽から変な声が漏れた。抓られた頬を擦り隣にいる高杉を見た。その仕草に笑えて高杉は口元を手で覆った。
「な!!晋助まで酷いヨ!!」
「クク…悪ぃ悪ぃ」
ポンと頭を撫でてやるとプゥと頬を膨らましプイっとそっぽを向いた。
「今日は、おめぇの誕生日だろ?」
「……!」
バッと高杉を見た神楽の目はキラキラと輝いていた。ヒャッホーと叫び高杉に抱き付くと今まで黙っていた銀時が騒ぎ始めたが新八に押さえ付けられた。
「晋助なら分かってくれると思ってたアル!!やっぱりそこらへんの男とは違うネ!!」
「クク、そうかぃ」
「いいから、晋助から放れろぉぉ」
「うるさいアル!!」
また始まった、と高杉は溜め息をつき今でも銀時に飛び掛かっていきそうな神楽の襟を掴み元の位置に戻した。
「あんな奴ほっとけ」
「あんな奴って晋ちゃん酷い!!!」
「黙れ天パ。……なんか欲しいもんとかあんのか??せっかくの誕生日なんだ、なんかしてやるよ」
「本当アルカ!?」
「ああ」
うーんと唸りをあげて考える神楽とうぇーんと嘘泣きする銀時。高杉は呆れ、神楽の頭をもう一度撫で決まったら言えと言い銀時の側へ戻った。高杉が近くにいると気付いた銀時は素早く抱き付き静まった。
「晋ちゃん、もう放さないよ!!」
「何言ってやがんだてめぇは。大体、俺がいつ…てめぇを嫌ったよ??」
「もう晋ちゃん、大好きvV I Love you〜ww」
「馬鹿が…」
ぎゅうぅっと抱き締めてくる銀時に薄く頬を赤くさせ高杉が呟くとともに、決まったぁぁという神楽の声が居間に響いた。お茶を淹れていた新八がお茶を零しそうになり慌てた。
「決まったのか…?」
「決まったヨww」
「言ってみろ」
「晋助!!私の婿に来るヨロシ」
「ふざけんなぁぁぁ!!!晋ちゃんはもう俺の嫁だからぁぁぁ!!!」
「銀ちゃんのケチ!!なら、一日だけ彼氏訳!!」
「「……は??」」
銀時と新八の声が重なった。口をあんぐり開ける銀時と瞬きを忘れている新八に対し高杉はプカプカと煙管を吸っている。
「ゆゆ、許しませぇぇん!!!そんなの―…」
「…良いじゃねぇか」
「そぉだ!!晋助がこう言ってんだ、うん。……って、えぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」
「んだよ、一日ぐれぇ良いじゃねぇかよ」
「やった!!晋助ありがと。…へへーん」
「ムカッ!!今あいつ、勝ったって顔しやがったぁぁ!!!」
定春から降りピョンピョンと飛び跳ね新八にちょっかい出す神楽を見て高杉は、フッと笑い歯をギリギリさせる銀時に振り向く。銀時は、高杉の視線に気付くと困ったように笑う。
「…分かってるって。今日だけ銀さん目ぇつぶるよ」
「さんきゅ」
背伸びをし銀時の頬にキスをすると銀時はピシッと固まり徐々に赤く染まる。高杉からのキスはあまりしてもらえないからだ。高杉は、そんな銀時に目を細めて神楽の元へ行った。
「じゃ、夕方まで晋助は私の彼氏ヨ」
「気をつけて下さいね。とにかく、神楽ちゃん。高杉さんの事も考えて行動してね」
「分かってるよ、ダメガネ」
「そこで、なんでダメガネなの??」
「…取り敢えず行ってくるヨ」
そう言い残し玄関を閉めた、かとおもえば再び開き神楽が顔を覗かせた。
「ついてくるなヨ」
「「………」」
ピシャっと閉まり今度こそ行ったようで新八は溜め息をつき、ついて行く訳ないでしょうが、と頭の中で思っていると隣にいた銀時が靴を履き始めた。
「何してるんですか??銀さん」
「新八くん、行くぞ」
「は…??」
「尾行、レッツチャレンジだ」
「……(えぇぇぇぇぇぇぇ!!)」
この人…どんだけなんだよぉぉぉ!!!
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