短編

□ HAPPY Valentine
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「……いや、言ってる意味分かんねぇから」

「言ったまんまでぃ」

「男がする事じゃねぇよ」

「男・女関係ないでさぁ!恋すれば男も乙女って言うでしょうよ」

「…言わねぇよ!!!!」




ま、頑張りなせぇ。と言い高杉の肩を叩くと教室から出て行った。高杉は、そのまま硬直し沖田が出て行った入口をただ見つめていた。






お…俺にどうしろっつーんだよぉぉぉぉ!!!











† HAPPY Valentine †











2月14日、女性が張り切る日でもあり、男性は鼻を伸ばす日でもある。そんな良い日に高杉は、頭を抱えていた。机の上に置いてある、物と睨み合っていた。




何故だ…!!
昼飯作ろうとしただけで、絶対ぇ作らねぇって心に決めてたのに気付いたら出来てた!!
無意識に作っちまった……どうしよ。




そう、高杉は手作りチョコを作ってしまったのだ。うあぁぁ!!と、頭をおもくそに振る。
冷や汗をかいており、顔も真っ赤である。
さて、そろそろ高杉くんが何故こんな様子なのかを解説しましょうか。高杉は、恋をしているのだ。とてもその人物を好んでいる。勿論、女の子……って思ってる方、それは違います。実は、同姓。男性に恋しているのだ。
同じクラスで幼馴染みの坂田銀時だ。
彼は、死んだ魚の目を持ち、天然パーマだが心優しくとても良い人なのだ。




「…はぁ」




溜め息を付けば、ヴーヴーとマナーモードにしていた携帯が鳴った。高杉はびっくりして心臓が飛び上がる。ディスプレイを見ると高杉は、あっとだけ呟き電話に出た。




『もしもし、晋ちゃん??』

「ぎ…銀時。どうしたんだよ?」

『今日、沖田と土方三人で遊ばねぇ??誘われて、高杉も呼べっつーからよ、どう??』

「…行く」

『まじかvVなら、高校の近くにある公園で』

「おぅ…」




ピっと電話を切ると高杉は、グッと小さくガッツポーズをした。チラリとチョコ:トリュフを見る。




せっかく作ったんだ…。ホラ、なんだ??
"友チョコ"っつーやつ?で良いんじゃん。
うん、そうしよう。…だってよ、告れば…




「気持ち悪がられるに決まってる。…そうなるくらいなら、今のままが良い」




そう呟くと高杉は出掛けるため用意をし始めたのだった。用意が終わり高杉は、小さな紙袋にチョコを入れてマンションから出た。





友チョコだっつったら、お前はきっと貰ってくれるよな―…?










「晋ちゃーん」

「晋ちゃん、言うなって何回言えば分かんだよ、てめぇは!!」

「良いじゃん!!俺だけの呼び方だよ!!」

「……っ馬鹿か!!」

「いてぇ!!」




パコっと頭を殴り、銀時に背を向ける。
シャイな高杉は、銀時の言葉にすぐ照れてしまう。そのため、照れ隠しするのに銀時を殴ったのだ。




ちっ、人の気も知らねぇで平然に言いやがって…こっちの身にもなりやがれ!!




心の中でぶつぶつと呟いている高杉を銀時は、ど突かれた頭を撫でながら見ていた。怒るような事言った??と疑問を抱えながら、土方たちが来るのを待っていた。



おっせーな、アイツ等!!
向こうから誘ってきたっつーのに、誘われたこっちが揃ったって意味ねぇじゃんかよ!!
銀さんと晋ちゃんを待たせるたぁ、良い度胸してんじゃんかよ…。




銀時も高杉と同様、心の中でぼやいていた。
すると、高杉が紙袋持っていることに気付き、誰かにやるのか?と言えば高杉は大袈裟なほど肩を揺らした。




「ばっ、違ッッ」

「照れない照れない。緊張してんなら俺が練習相手になってやるよ」

「はぁ!!?」




そっかぁ、今日バレンタインかー!!
チョコ誰に渡すか知らないけど晋助可愛いなぁ。そして、練習相手になってあげる銀さん、やっさしー♪♪だけど、何〜??胸の奥がジリジリするんですけど。




「遠慮すんなって高杉と俺の仲じゃんか!!」

「……(どうゆう仲だよ)」

「じゃーシュチュエーションは相手の家に着いてピンポンするところから!!ちゃんとピンポンって口で言えよ」

「はぁ…」

「やる気ねーなぁオイッ!これから好きな奴に渡すんだよ?!」

「(だからお前だっつーの!)」




高杉は、もう一度溜め息をつき「ピンポン」と口にした。銀時はもうやる気満々で既に演技に入っていた。




「はーい。あら、あなたウチの子になんのご用事ざます?どういったご関係ざます??」

「ざます口調やめろ、つうかそんなオプションいいから」

「分かった。はい本人登場ー。あら高杉くん!!どーしたの?」




俺なにやってんだろ…。
つうか、俺が好きなの女と思ってやがる…。
いや、本当ならそうなんだけどよ…。




「えっと…」

「ちょい、晋助くん!!俺相手にそんなんで本番どうすんだよー」

「(本人だっての!!本番だっての!!)」




うるせぇよ、つか無理。と言い高杉はブランコまで足を運ばせ座った。ギィギィと音を鳴らせ、本日何回目かの溜め息をついた。銀時は、後頭部を掻いたあと、苦笑し高杉に近付いた。




「晋助…大丈夫だってバレンタインにチョコ貰って気わるくする奴なんていないって」

「……」

「な!!そんな落ち込むなよ」

「ちげぇよ…チョコお前にあげるために作ったんだよ」




高杉は、立ち上がり銀時と向き合った。銀時は、目を逸らさずずっと高杉を見つめた。
高杉は、かなり戸惑い口をパクパク開いていたが、深呼吸をして口を開いた。




「俺―…お前が好きなんだ」



やっと言えた告白に高杉は目を瞑り、銀時からの返事を恐れながら待つ。沈黙が流れ、高杉はだんだんこの場から逃げ出したいという気持ちに襲われた。




…銀時。何か…何か言ってくれ。頼む。




「うん!!」

「…え?」

「バッチシ!!良いじゃん今の!よし練習終了!!じゃ次は本人の家行ってみよーか!!」

「………」




高杉は、唖然として銀時を見つめた。それが、だんだんイラつき持っていた紙袋を投げ付け銀時の顔面にクリティカルヒット!!




「ぐおぉぉぉぉ!!!角が突き刺さったぁぁ!!」

「…ぁ、悪い。手が滑っちまった」

「嘘つけ!!完璧に狙ってたっしょ!!しかも、これあげるモノでしょうが!!」

「もう、おめぇにやるよ。んで燃やして捨てろ……お前と一緒に」




ひゅーと二人の間に冷たい風が吹き、高杉は銀時の横を通りすぎ歩き出した。




「俺、今日行かねぇ。3人で行けば??…じゃあな」

「ちょっ、晋ちゃ……晋助!!」




走り去る背中がなくなると銀時は、舌打ちをし地面を蹴った。自分が何したのか分からない。そんな自分自身にイラついているのだ。




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