連載
□第7話
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「…何言ってんだ?」
「話し声が聞こえたんだが…、此処に誰かいたのか、晋助?」
「いねぇよ…。」
「本当か??」
「何で嘘付かなきゃいけねぇんだよ??
分かったら出てくれねぇか爾来さんよ…」
高杉を買った天人:「爾来」(ジライ)は、明日は早い、早く寝ろ。と言い渋々部屋を出た。爾来の気配が無くなって安堵の溜め息をついた。
「ちっ、気をつけねぇと…。」
俺はともかく…。銀時に何かされると困る。
運が悪ければ…銀時を殺すかもしれない。
あいつを怒らせると正直…ヤバい。
「……」
高杉は、自分の唇を触りついさっきの事を思い出していた。本当に一瞬の…出来事。
『おやすみ』
その時の優しい笑みが高杉の脳裏に焼き付いている。高杉は、ふっと笑い銀時が出入りする窓から遠くの景色を見つめる。
「あいつ、何処らへんに住んでんだろうな」
なんて事を考えていた高杉は、心の何処かで「期待」を持っていた。いや、持てずには居られなかった。の方が正しいだろうか。
あんな事されたら誰でも期待してしまう。
高杉は、一欠伸し布団に入った。
「にしても、今日は疲れた。」
今日の仕事はハードではなかったが、そこまで体力が無い高杉には毎日が厳しいだろう。
―コンコン
「…なんだ、俺ァ寝ようとしてんだよ」
「すみません、高杉さん。
明日の事言おうと思いまして…」
「単刀直入で言え」
「はい。明日は、朝から昼までぎしぎしに予約が入っていますので明日は6時に起床となっております」
「…分かった、わざわざさんきゅ。お前も早く寝ろよ」
「はい、おやすみなさい」
ちっ、やってらんねぇ。朝っぱらからじゃキツいじゃねぇか。と思いながら時計に目をやると針は3時を差していた。
「はぁ…。(3時間しか寝れねぇじゃねぇか)」
俺の人生ってこのまま何も幸せも感じないまま終わっちまうのか…?今は、銀時が来てくれるだけが唯一の楽しみ…。
だが…、そう長くは続かないだろう。爾来も薄々気が付き始めている。銀時に被害が受けないうちに…縁を切った方が良い…。
あいつが傷付く姿なんざ見たくねぇ…。
「けど…」
やっぱり、俺は此処で人生を終えたくない。
助けて貰いたい、だけど傷付けたくない。
矛盾している俺は、おかしいだろうか。
「いっそ、言っちまったら楽なんだろうな…」
"助けてくれ"って言えたら…"抜け出したい"と言えたら…気持ち的に楽になるだろう。
だが…迷惑はかけたくない。
「もう寝よ。考えていてもきりがない」
高杉は、明け方は早い…そう思いながら目を閉じ眠りに入った。
縁を切るのは…まだ先でいいよな…。
なぁ、銀時…??
*next*
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