連載
□第8話
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「晋、お疲れ。今日も可愛かったよ…またよろしくね」
「ハァ…ハァ…こちら、こそ」
最後の常連客が終わり一日の仕事を終えた。
高杉にキスをし、常連客はが部屋から出て行った。高杉は、乱れた着流しを戻し袖で唇を拭く。
「汚ぇ唇でしてくんじゃねぇよ…糞」
朝から昼までぎしぎしに予約があり夜もあった為、高杉はヘトヘトだ。ベットに寝っ転がり一つ溜め息を零す。
あー、頭痛ぇ。身体がだるい。気持ち悪い。
毎回こんな事してっと身体が保たねぇよ。
「……ん?」
外がなんだか騒がしい。
高杉は、立ち上がり窓から覗いた。
「……何してんだ、銀時?」
「よ、よぅ…高杉」
「入れよ。」
「いや、お前なんか疲れてるっぽいから帰ろうか?」
「大丈夫だ……ん??」
銀時の後ろに見知らぬ二人の男女。誰だろうか、と思っていた高杉に気付き銀時が慌てて紹介した。
「高杉、こいつ等が前話した新八と神楽だよ」
「ホントか?会いたかったぜ。まぁ、上がれよ」
高杉は、銀時達を招入れた。神楽は、面白そうに辺りを見渡し、新八は緊張気味で座っている。その光景を見ている銀時と高杉は顔を見合わせフッと笑った。が…前の事を思い出し二人共顔を赤くさせた。
「晋ちゃん、ホント大丈夫?
さっき覗いたら寝っ転がってたし」
「あぁ…心配するこたぁねぇよ」
「そっか。なら、良かった」
「銀ちゃん、銀ちゃん。
こいつ誰アルカ??ごっさ美男子アル!!」
「あぁ、紹介する。この子は、高杉晋助だよ」
「私、神楽ヨ。晋助よろしくね。」
「僕、新八です。よろしくお願いします」
「おぉ…」
新八っつー奴は、確かにツッコミ役に見えるが、神楽って奴は、全く大食いに見えねぇよ。
本当は見てみたいが食べ物頼んだらバレてしまうかもしれねぇしな…。
「ダメガネ。」
「いや、神楽ちゃん"新八"だから」
「私、眼鏡かけてる奴嫌いネ。仕方ないヨ」
「んだとゴラァ!!」
「よせよ、神楽ちゃんに新一くん」
「新八っつってんだろ!!」
「細けぇ事気にすんなよ」
「細かい事じゃないですよ!!」
「……クッ」
ハハハハハ、と高杉が笑った。
三人もそれにつられて笑った。
部屋は賑やかになり始めつつあった。
「銀時……ありがとな。お前には、色々と助けられてる…本当だ。元気付けられてる」
「そんなの良いよ。俺こそ元気付けられてるし」
「ねぇねぇ、銀ちゃん。
晋助は此処で何してるの?」
「え?!いや〜それはぁ」
銀時は神楽の質問にどう答えればいいのか分からず裏声になった。
「譲ちゃんは、まだ知るのは早ぇな。また今度な」
「……分かったヨ」
頬を膨らまし納得した。銀時は、安堵の溜め息をつき胸を撫で下ろした。
「よし…飲むか」
「え。あんの??」
「朝から飲み物頼んどいて冷やしといたんだ。考えたろ??」
「あぁ」
「子供は、ジュースな。俺等は酒だ」
乾杯し飲み始める。
銀時、神楽はく〜っと言い、新八は、ふ〜っと息を吐いた。
「ん…??高杉どうしたの??」
「何もねぇよ」
「いやぁ、袖掴んでっから」
「駄目か??」
「んや、大歓迎だよ」
ニカっと笑い高杉の頬を撫でた。高杉はくすぐったそうに顔をよじる。
…あと、少ししかない時間。
少しでもお前に甘えていたい。
もう、会えなくなっても寂しくないように…悲しくないように…思う存分甘えよう。
だから…もう少しこのままで―…。
*next*
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