連載

□第12話
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目が覚めると高杉は自分の部屋のに移されていた。頭がぼーっとする中、体を動かそうとしても激痛により遮られた。




「……っ」




何とか起き上がった高杉は、不意にあるモノが視界に映り窓の方を向くと、なかったはずのモノが付けられていた。鉄格子だ。高杉は、よろよろとその場に向かい鉄格子を握った。




「…これじゃあ、景色が綺麗に見えねぇじゃねぇか」




これじゃあ………





もう、あいつに会えない…。





「……」




ツゥっと頬に涙が伝う。悲しい思いと惨めな思い、爾来からの行為に抵抗一つ出来なかったという悔しい思いが高杉を襲った。何度も何度も涙を拭き取っても次から次へと流れ落ちてくる。




出れなくても良い良いから銀時に会いたい。
もう一度、会いたい…。




そんな事を思っていると地響きがした途端、ドッカーンと爆発音が鳴り高杉は体勢を崩し座り込んだ。何とか両手で鉄格子を握っていたため倒れずにすんだのだった。ゆっくりと立って鉄格子付きの窓を覗いてみると煙が出ており騒がしかった。微かに見えたのが爾来の見張り番の天人達だった。何が起きているのか分からないが爆発音のせいで遊郭自体が騒がしくなった。「今の音はなんだ?!」とか「一旦店を閉めろ」と言う声が響き渡っていた。




「…高杉さん!!出て来て下さい!危ないですよ!」

「……。」




ドンドンと襖を叩く音がし、高杉は襖が開かないように、棚を力ずくで押し入口を塞いだ。何度も自分の名を呼びながら開けようとする店員だったがやがて呼ぶ声がやんだ。仲間を呼びに行ったのだろう。




「大袈裟すぎだ…。何処の奴かは知らねぇが、こっちまで危害は起きねぇだ、ろ……??」




遠くで行われている中で天人の他に人間らしき人四人が一瞬見えた。目立つ銀髪にオレンジ髪。嘘だと首を振りまた見ると確かにありこっちへと向かって来ている。




「ぎ、ん…とき?」





「どけぇぇ、てめぇ等に用ないんだからよ!!」

「銀ちゃん!歯ァ食いしばるアル!私がぶん殴って向こうに飛ばして…「怖い事やらなくていいからぁ!!それしたら、死んじゃうから!」




天人達が一向に減らず銀時達は逆に体力を奪われるばかりだった。銀時は、天人一人を踏み台にし屋根へと飛び上がった。それに続き、新八を担いだ桂も踏み台にし飛び上がり走った。神楽というと定春に跨がり走り出し天人を踏み付けていく。天人達は下から追いかけてくる側と時間をかけて屋根に登って追いかけてくる側に半分に分かれた。




「なるべく距離を放さなければな!!」

「そうだな。確か、このへんのような。いつもの場所と上がるとこ違ぇからなぁ」

「銀さん!此所は桂さんと僕で何とかしますから、先に行って下さい!」

「ありがとな。くれぐれも気をつけろよ」





多分、もう少し先だろうな。おっ、あったあった。あの高い建物だな。後少しだ…。待ってろよ、高杉。






「……っ」

「開けるんだ、晋助!」

「高杉さん」

「…断、るっ!」




高杉は、襖をダンダンと叩いたり、押したりしながら爾来達が来させないように背中を向け全力で押し返していた。




このままじゃ長く保ちそうにねぇな。こんな事して意味ない、分かっちゃいるんだが…出たくないんだ。




「…銀、時っ………会いてぇよ」

「…高杉?!」

「―…え」




俯いていた顔を上げると鉄格子を掴んでいる銀時の姿があった。高杉は、目を見開いた後、涙を溜めて銀時が近くにいる窓へと駆け寄った。




「銀時っ」

「高杉、これどうしただよ?」

「爾来に、バレちまってよ。罰食らうしオマケにてめぇが入れねぇように付けやがった。」

「悪かったな。早く来ていれば」

「そんな事ぁねぇよ。…会いたかった」




銀時が片手で鉄格子を掴んでいる手の上に自分の片手で包み込んだ。すると、高杉が押し返す事を止めてしまったせいで、少しの隙間から爾来が覗き込んでいた。




「晋助!!そいつから離れないか!!」

「―…爾来っ」

「銀時!!もう限界かもしれん!!出直そう!」

「銀さん、僕も神楽ちゃんもやばいです」

「銀時、行け!!俺は良いから」

「でも…」

「銀時!!今は"仲間"の事を考えろ!俺は…大丈夫だから」

「分かった…」




嘘つき…。大丈夫って顔してないじゃんか。
だけど、助けに来た俺達が捕まっちゃ意味がねぇ。ここは…一旦退こう。




「必ず助けに行くからな…。だから、待っててくれ。」

「あぁ…待ってる。無理…すんなよ」

「お前の為なら…死ぬ事なんて怖かねぇよ」

「なん―…」




言葉を出そうとしたら、銀時が隙間から手を差し伸べ高杉の顎を掴むと引き寄せてキスをした。何秒かすると高杉の唇から銀時の唇が放れると銀時は優しい笑みを見せつけた。




「なんでかって??」

「……」

「お前を……"愛してる"からだ」

「銀時…」




ゆっくりと高杉の手から銀時の手は離れていき地面へと降りていった。高杉は、溜めていた涙を流し、ただ黙って見るしかなかった。



「銀ちゃん達早く乗るアル」

「あぁ…」




一旦退くため、定春の上に乗り元来た道を走って行く。後ろを振り向くと高杉が爾来に捕まってしまったところを銀時は見てしまい下唇を噛み締めた…。もう少し…自分に力があったら、とそう思いながら。






夕焼けの空…。夕日が沈むその先はまるで血のような色をしていた。






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