連載

□第13話
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「頼み事ですかい??」

「誰が野郎の頼みなんか聞くかよ、帰った帰った。俺達ゃ忙しいんだよ」

「そこをどーにか!!」

「暇なくせして、庶民を見捨てる気アルかぁ!!!なんて酷い幕府なんでしょう!!」

「まぁまぁトシよ。話だけでも聞いてやろう」

「近藤さんがそう言うなら構わねぇよ」




今までの事を真選組に話してみるがなかなか信じて貰えなかった。挙句の果て帰れと言われた。なんとか新八、神楽、ヅラ子が説得しているのを黙って銀時は見ていた。




「あそこにゃ店なんざやってねぇよ」

「やってるから頼んでるんじゃないですか!」

「爾来っつー奴が遊園地……あれ何だったっけ??遊覧船やってるアル!!」

「リーダー、遊郭だ」




ないっつったらないんだよ!、と土方の声に黙っていた銀時が畳をダンッと殴り辺りは静かになった。いや、殴ったんじゃなく額を畳にぶちつけていた。土下座の体勢だった。




「……頼む。助け出したい…大切な人がいるんだ。力を貸してくれないか。…頼む」

「銀さん…」

「……旦那」




今まで自分達に頭など絶対下げない銀時に土方は驚きながらも近藤を見る。近藤も土方を見て頷いた。




「銀時、顔をあげろ。」

「……。」

「万事屋…てめぇがそこまでしたんだ、嘘とはもう思わねぇ、引き受けてやる」

「…ホントか」

「…あぁ」




銀時は顔をあげ新八達をみた。新八も礼を言いこれにより、銀時、新八、神楽、桂と共に真選組、近藤と土方、沖田が加わったのだった。







バキッと鈍い音が部屋に響き何度目かの血が散らばり、床に落ち染み込んでいく。白い絨毯に点々と紅い血が散らばり紅く染まりそうだった。



「……ゲホ、ケホッ…」

「何故、俺に逆らう??お前を買ったのはこの俺だぞ…」

「……こんな、事する…ぐらいなら俺ぁ、死んだ方が良い。」

「……」




あれから爾来に捕まり高杉は宙吊りにされ、怒り狂った爾来にこれでもかと殴られていた。高杉は、口元は何度も切れ血が流れており、頬は青黒く痣が出来たり腫れたりしていた。




「俺…は、"自由"になり、たい。こんな、狭い世界から…出たいんだよ。」

「……ハ、ハハハ」

「…ぐ、ぁッッ!」

「笑わせるなッ」




爾来は、高杉の前髪をぎりりと掴みあげた。高杉は、耐えきれず涙を流した。傷はヒリヒリズキズキ痛く、やはり何も出来なくて悔しかった。




「お前に自由などない!!お前は死ぬまで俺の側で俺の店で働いてもらう!!」

「…ぅ、ッ俺にだって拒否権は―…「ない!!お前に拒否権などない!!!俺の言う事を聞いていればいいんだ!!」

「てめぇの考え方は間違……うぐ」




高杉を喋らさないように片手で口を塞いだ。爾来の表情はニヤニヤと笑っていた。どんなに手を退かそうとしても退かなかった。




「悔しいか??晋助。悔しいだろうなぁ。今のお前の顔は悔しそうな顔している。良い眺めだ」

「…〜ッッ」




ポロポロと涙が流れ止めようとしても無理だった。高杉は、爾来を睨んでいたが目を固く瞑り力なく俯いた。爾来は、ニヤリと笑い高杉の口から手を放した。




「お前は、一生此所から出られない。銀髪の奴等がきたら次こそ息の根を止めてやる。お前には大事な人なんか必要ない。出来た時は、俺が殺すまでだ」

「……ッッ」




パタンとドアを閉める音が響き高杉は下唇を噛み締めて声を殺し泣いたのだった。





銀時…銀時…。
俺の声、聞こえる??
俺を早く此所から出してくれ…。




怖くて、悔しくて、死にそうだ…。
お前に……会いたい。
そんな俺は…我が儘、だろうか……





俺の声聞こえますか??





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