連載
□第17話
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「待てよ、先にどんどん進むな!!奴等はお前を狙ってんだぞ!!分かってんのか?!」
「そんなの分かってる!!だけど銀時が危ないんだよ!!」
「高杉さん、その爾来っつー奴ァそんなに危険なんですかぃ??」
「……あぁ」
高杉が土方たちと合流してから見張りに鉢合わせし土方たちが倒れて行く際に銀時が爾来と闘っている事が分かってしまい、高杉の歩くスピードが速くなった。左右とも襖で並んだ道を進んでいたけど、その足が急に立ち止まった。
「……」
「どうした??」
「…空気が…ピリピリする」
そう言うと確かにピリピリしたらしく土方と沖田は高杉の前に立ち守るように前方を塞ぎ、近藤と山崎は高杉の後ろを塞いだ。
…なんだか騒がしい。向こうに繋がる廊下が騒がしい。楽しい会話でもない。まるで、雄叫びをあげているようだ。
次の瞬間、高杉が立つ隣の襖が破れた。誰が吹っ飛んできたのか砂埃が立つ中に人影が見えたのだ。5人は砂埃に包まれ視界が曖昧になってしまい高杉は、咳き込みんでいるとその人物と目があった。そいつは、ニタリと笑い、高杉は真っ青になった。
「…じ、らい」
「晋助…此所で何している」
「……ッ」
ヨロッと立ち上がった爾来は、体に何か所か怪我をして血が流れていた。高杉は、冷や汗をかき一歩後ろへ後退り。だが、此所は廊下の中で幅が狭くすぐに後ろにある襖にぶつかってしまった。漸く砂埃がやみ周りが見えるようになった土方たちは高杉の危険に気付き切掛かったが、なんともいえない速さで4人を吹っ飛ばしてしまった。左右から響き渡る凄まじい音を高杉は耳にした。
「仕方ない…もう逃げられないようにアキレス腱とやらを切ってしまおう」
「…―ッ!」
手を伸ばしてくる爾来に高杉は、顔を歪ませ涙ぐむ。爾来は、ニタニタ笑い、やはりお前は俺の美しい花だ。と呟いた。
「おめぇの相手は俺だろうがぁぁぁ!!!!」
ダダダと畳を走る音がし、爾来に刀が振り落とされるが、爾来はすぐさま後ろを振り向き刀で受け止めた。ユラユラと揺れる銀色で綺麗な髪。高杉は、銀時だと分かり嬉しくなったが銀時を見て言葉を失った。
「大丈、夫か??…高杉」
「銀、時……おま、え」
銀時は、額や腕は軽傷を負い片手で抑えている腹部は重傷だ。刀で突き抜かれたのか…それとも斬られたのか高杉には分からなかった。爾来は強い、けれど銀時も強いのだが爾来の方が上らしい。息が上がっていない爾来に比べて銀時は肩で息をしている。所詮人間なのだ、化け物に近い天人に勝つのは厳しい
「人間の癖によくやる。…だが、もうあまりもたないだろう。俺が楽にしてやるよ」
「…―ッッ!!銀時!!!逃げろ!!!もう良い!!」
「……」
「頼むから逃げろッ!!お前が死んじまう」
「…言った、だろ」
「…え」
銀時は、俯いて息をしていたが深呼吸して高杉を見た。体はボロボロになっても、あの目だけは…あの紅い瞳だけはギラギラと光っていた。
「お前の為なら…死ぬ事なんて怖かねぇよ。お前を"愛してる"からだ、ってよ」
「…ッ馬鹿野郎!!俺の事なんかより自分の体を心配しやがれ!!!」
「―ッ好きな奴を守れねぇ男なんざ男なんかじゃねぇッ!!!!」
「……!?」
凄いド迫力に高杉は目を見開き、ぐっと息を呑んだ。
「…惚れた人には命を掛けても守る、それが男の義務ってもんなんだよ」
「銀、時…」
ガタガタンと壊れた私物を退す音を立て、むくりと吹っ飛ばされた土方たちが起き上がった。誰一人諦めていない目付きだ。
「フ、フ…ハハハハ。…晋助」
「……ッ」
「良い男共ではないか。殺しがたい…が始末しないと駄目のようだな」
「……」
不安な目で銀時を見ると、銀時は大丈夫だから。と呟くように笑った。だが、それも束の間。高杉が気付いた頃には銀時と爾来は既に互角同士で闘っていた。周りをみれば、土方たちも見張りと戦い、桂、新八、神楽の姿も見えた。
俺、のために……。
なのに、俺は何も出来ない…。
どうすればいいのか分からない。
「高杉!!」
「…ぇ??うゎッ!?」
土方にグイッと引っ張られバランスを崩しそうになったが土方に支えられた。ドサリという音に振り向けば天人が倒れていた。
「ボサッとするな!!捕まりたいのか?!」
「わ…悪ぃ」
「俺から放れるなよ」
そう言い土方は高杉の側で闘った。その中に沖田も混ざり近付く者は容赦なくブッた斬ったのだった。
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