連載

□第18話
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たまたま外の夕日を見ていたら、下がやけに騒がしく下をみると銀髪の男の姿があった。
これが、銀時との出会いだった。




人と接するのが嫌な高杉は、無意識に怪我を負っている銀髪の男に話かけていた。




『…怪我してんのか??あんた…』




その言葉にびっくりした銀時は、キョロキョロ辺りを見回していた。高杉は、その様子に何故だか口元が緩んだ。上だ、と伝えると高杉は見上げる銀時と目があった。




『上がって来いよ』

『いや…あのどうやって』

『隣の屋根まで上がれば簡単に入って来れるだろ。
あんた…只の侍じゃなさそうだしよ』

『あー、なるほどね。
とにかく隣の屋根に上がればいいんだな』




こうゆうの慣れてんのか…??コイツ…。
ちょっと驚いた。にしても…珍しい髪してるな。銀髪に今にも吸い込まれてしまいそうな赤い瞳。




『へぇ…。軽い身のこなしなんだなぁ』

『ところで、入っていいのか?』

『構わねぇよ。手当てしてやるよ…』

『こら、女の子なんだから口には気をつけないと駄目でしょうが』

『クク…馬鹿が。俺ぁ、男だぜ…』

『はいはい…って…えぇ!!そうだったの』

『まぁ、外で話すのもアレだ…上がれや』




高杉は、おかしな事を言う銀時に笑った。
作り笑いとかそんなのではなく本当の笑みでだ。作り笑いが基本であった高杉は、笑った後、己自身に驚いていた。




もっと、知りたい…。もっと一緒にいたい…。
初対面の奴にこんな気持ちになるなんてな。




そんな時に、客が来たとの連絡が入り高杉は銀時と別れないといけなくなった。別れを告げようとした筈が、また、来てくれるか…?と言っていた。…え、と目を丸くさせる銀時に高杉は慌てて理由を探した。




『今度は、ゆっくりお前と話したい』

『…いいぜ。じゃあ、な』

『…あぁ』




迷うことなく返って来た返事に驚いたが、それと同時に嬉しさが込み上げてきた。
銀時は、入ってきた窓から飛び降りた。高杉は、飛び降りる瞬間の銀時の大きな背中を見た。そして、銀時が居なくなってからすぐ、お得意様が現われたのだった。










「……ぅッ」





高杉は、今までより激痛を感じその場に座り込んだ。もう身体が限界だと抵抗しているのだ。そのせいか、身体がミシミシと唸る。





銀時の…お陰で俺の人生が変わった。
人と接する事も、あまり怖くなくなった。
銀時の仲間とかいう新八、神楽にも会えた。
…そして、人を信じれるようにもなった。
此所が辛い場所でも、銀時が来てくれると楽しかった。…楽しかったんだ。




「ここにいたのかい、晋助さん」

「……ッッ!!?(しまった!!)」




名前を呼ばれバッと前をみると見張りの天人二人が立っていた。高杉は、歯を食いしばり、立ち上がる。何とかして逃げないといけない。だが、高杉には何も出来ない。




「一緒に来て頂こう。部屋に案内します」

「…ッ、無理な、話だ。俺は、ひ、まじゃ…ねぇん…だよ!!」

「そんな体で何が出来る??立ってるだけで精一杯じゃないか」

「……るせぇ。邪魔すん、な」

「無力な人間には、何も出来ない」






―…大体、無力なお前に何が出来る??…―






爾来に言われた言葉が頭によぎった。
目の前の天人は、ゲラゲラ笑いながら高杉を馬鹿にする。高杉は、下唇を噛み締め目の前に立っている天人を睨み付けた。
それに気付いた天人は、笑うのをやめ一歩後ろへ下がった。初めて高杉に睨まれたからだ。髪の隙間から見える、碧色の瞳が鋭く光っていた。




「……無力がそんなにいけねぇ事か??お前等と違うだけでそんなにいけない事なのかよ」

「……」

「…無力でも、俺だって、守りたい奴がいんだよ!!!!」




銀時たちを…守りたい。
もう、守られるばかりはごめんだ。




高杉は、側に倒れている天人から武器を奪いとり二人の天人に刀を向けた。怪我している高杉は、自分でも不利だと分かっている。だが、こうするしか他に手がないのだ。




「俺たちと殺り合おうってかい、晋助さん」

「……ッ」

「生きていればいい、と爾来様から言われている…少し痛めてから連れていく」




二人が高杉に向かって動きだし、高杉も慣れない刀を握り締める。その時、目の前に人影が通りすぎた。目を見開いたと同時に二人の天人がドサリと倒れた。高杉の前に立っているのは、黒い服に身を包まれた男性・土方だった。




「…おま、え」

「やっと見つけた。だから言っただろ!!俺たちから離れるなっ……て、お前怪我してるじゃねぇか!!」

「……ッこん、なの、対したこ…とじゃ、、」

「ッ!!?…お、おい!!!」




カランッと握っていた刀を落とし、高杉は膝をカクッとなりバランスを崩した。その寸前に、土方が受け止めたのだった。ボタボタ血が畳に染み込む。高杉は、頭がボーッとする中、銀時のことを考えていた。
突然、高杉の前から姿を消した銀時。それと同時に、恐怖を感じた。高杉は、銀時がこの世から居なくなってしまうのではないかと思ってしまったのだ。




「高杉!?…おい、しっかりしろ」

「晋助!!…大丈夫アルカ!!」




たまたま通りすがった、神楽、新八、桂は土方に体を預ける高杉の姿を見つけた。高杉の横腹は血を流しており、何があったのか分からないが神楽は、慌てて駆け寄った。
側で高杉を呼ぶ声に、高杉はまるで遠くから呼ばれているように感じていた。





銀時…何処??何処にいるんだ。
お前が叫んだ時、銀時じゃない気がしたんだ。嫌な予感がした…。まるで、何かが銀時の意識を飲み込んでしまったかのような…。





ふと高杉は、銀時が向こうに立っているように見えた。銀時は、高杉に振り向き微笑んだ。
差し出された手にゆっくり手を伸すが、伸した手は空をきり垂れ下がってしまった。






「……ぎ、ん……と、…き」






つぅ、と涙を流し高杉は意識を手放したのだった。















銀時…、会いたい…。















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