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□第1話



いつもは居ない筈の校舎にある大きな木の下に小柄な人が
一人立って空を見上げていた…。




第1話




「銀時、何してる??授業遅れるぞ。」

「ヅラ、辰馬…悪い。ちょっと、待ってろ。」

「あ…おい!」




ヅラが引き止めるのを無視して俺は、そいつの側に行った。




「おい、此処で何してんの?」

「……。」

「おい、コラ!!!無視するな!!」

「…ぁ……。」




一言声をあげたが、回りをキョロキョロし始めた。




「いやいや、お前に言ってんの。」

「…お、れか…??」

「他に誰がいんだよ」




話かけられたのが自分だと分かった彼は、目を見開いていた…。驚きを隠せないようだ。
そんなに驚く事か…??




「此処で何してんの??」

「あ…あんた、俺が…」





見えんのか…。





「はい…??」

「銀時、早くせんか!!」

「金時。おんし、さっきから誰と話しちょる?」

「はぁ??誰って此処にいる奴とだよ。」

「…木にか??」





何言ってんだこいつ。え…えっ??
待て…待てよ。
なら…こいつ―…





俺は、ヅラと辰馬から顔を逸らしもう一度小柄な彼の顔を見る。




「こいつ等の言う通り、俺ァ死んでる…。
つまり、“幽霊”だ。」

「〜〜〜ッッッ!!!」




俺は、声にならない悲鳴をあげ、二人を置いて全力疾走で走って行った。
二人の声がしたが今の俺には聞こえなかった。




有り得ない…。
有り得ない!
有り得ないぃぃぃ!!!!
幽霊なんて居てたまるか!
そうだ、幽霊なんていない!!
三人できっと俺を騙してんだ!!間違えない!



「なぁなぁ…」

「なんだよ…」

「お前、幽霊怖いのか??」

「ババババカ言ってんじゃねぇよ!
だだだ誰が幽霊なんか怖がるかってんだよ」

「じゃさ、今走ってるあんたは…誰と話してんだ?」

「……。」




確かに、俺。今誰と話してんだ…??
不思議に思い、隣に顔を向けるとさっきの奴が、居た…。しかも、浮いている。
何??お前、ドラゴン◯ールに出てくるサイヤ人的な人??




「初めてだな…。俺に話しかけて来た奴」

「じゃ…おま。まぢで…幽霊な訳??」

「だから、そう言ってるだろうが」

「…ぎいやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」




俺の叫び声が廊下に響き渡たった。




「…あんた、強がりにも程があるぜ。
別に呪い殺す訳でもねぇし」

「幽霊のお前が…ななななんで此処にいんだよ。普通、天国とか地獄に行くんじゃないの…??」

「俺だって、知らねぇんだ」

「…え??」

「気付いたらいつもの世界に居た。けど…自分がどうして死んでいるのかも分からない」

「……。」




こいつは…確かに幽霊だ。もう死んでいる。
体が透けている…。
だけど…何故かこいつと話していると、普通の人間に見えて、怖さなんてなくなっていた…。




「何日振りだろうな…。人と話したのは…。
俺、お前と話せて嬉しいぜ」

「……。名前は??」

「え??」

「だぁかぁらぁ、お前の名前。」

「…た、高杉 晋助」

「そっか。俺、坂田 銀時。
話し相手でも何でもなってやるよ…。」




そう言うと、高杉っつー奴は微笑んだ。




「ありがとな…坂田」

「銀時でいいよ。よろしくね」

「…あぁ」




すると、チャイムが響き渡った。
授業が始まる少し前のチャイムだなぁ。
1限目何だったけな?国語だったかな。




「行かなくていいのか??」

「え…いいのいいの。今は晋ちゃんと喋りたい気分だから」

「ありがてぇなぁ」






ゆっくり話しようよ。






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