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□第6話
思い出した…。思い出してしまった…。
そうだ…。俺はトシと総悟と別れたあと小さい子供が襲われそうになったのを庇ったんだ。
あの日…何でトシが血相変えて家を出て行ったのが分かった気がする…。
銀時が、意識不明の重体と言った時頭が真っ白になり、飛び出してしまっていた。
第6話
それを聞いた時点で俺はきっと死ぬんだろうな。意識不明の重体で助かった奴なんてそういない。それに今俺が幽霊なのは…意識を失っているからなんだろう。
結局…俺は消えるんだ。跡形もなく…。
そして忘れられていく…。
「……。」
気付けば知らない所に来ていた…。
俺は、そこら辺にあった公園に行きしゃがみこんだ。
「……っ!!!?」
手のひらを良く見ると自分自身がさっきよりも透けていた…。
「……ぁ」
それを見たら急に怖くなった。
いよいよ消えると思えば思う程怖くて…涙が出そうになった。生か…死か…。
どちらか分からない恐さ。
「いや…だ…」
自分の手を擦りながらパニック状態になっていた。
「誰…か。銀……と…き」
銀時に会いたい…。消えてしまうのなら…
俺の想いを伝えたい。好きなんだ…。
好きなんだよ…銀時。嫌われてもいい…。
最後に…伝えたいんだ。
こんな終わり方なんて嫌だ。
「晋助っ!!!!」
「―…ッ!?ぎ…銀時…」
後を振り向くと銀時がゼェハァと息を切らして立っていた…。そして一言怒鳴られた。
「何勝手に放れんだよ、馬鹿!!」
「わ…悪ぃ。」
「銀さんめっさ焦ったじゃんか……ってお前!!!」
「……あぁ。どうやら、お別れみてぇだな」
「……。」
悲しそうな顔…。何でそんな顔すんだよ…。
そんなお前見てたら…、泣きそうじゃねぇかよ…。
―ふわッ
暖かさも感触も何も感じない。
だけど…嬉しい。
銀時が俺を包んでくれてる。
「銀、時」
「消えるなんて…嫌だな。
俺…お前の事ずっと前から好きだったんだ。
お前の笑顔もお前の優しさも大好きだ…。」
「……ッ俺も…銀時が好きだ。
お前に会えて良かった…。」
「まぢでか…」
あぁ…消えていく。もう、足が消えている…。
けど…銀時に想いは伝えた。
後悔はなくはないが…
伝えないよりかはマシだ。
「銀時…2ヶ月間ありがとな。
本当に楽しかったぜ…。」
「…ッ晋助」
顔をあげると銀時が泣いていた。
本当に別れたくない…。
ずっとこいつの側に居たかった…。
「銀時……大好きだ」
透けない程度であいつにキスをした…。
そして、俺は消えた…。跡形もなく―…。
その後の事は不明だ…。俺は本当に死んだのか…。それとも…生きているのか。
生きていたのなら…、お前にもう一度会いたい。
そして―…。
*next*
(ありがとう…銀時。)
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