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□最終話
―鬼兵隊、斬首の刑に…―
新聞にデカく載せられているただの文字。
あれから何年か経って今日は鬼兵隊の奴等が斬首された日。
俺たちは、あれから仲間を集め天人と闘った。俺は「白夜叉」と言われるようになり…あいつは、鬼兵隊総督となった。だが、所詮人間。
化け物相手に敵うわけなかった。仲間は次から次へと減っていき坂本は、宇宙へと逃げていき…俺も刀を捨て戦場を逃げた。
愛する人をおいてー…。
最終話
「……。」
戦場を抜け出した銀時は、万事屋いわゆる何でも屋を営業している。ソファに座って新聞を読んでいた。「鬼兵隊、斬首の刑に」の隣には「真選組数名死す」と書かれている文を銀時はまじまじと目を通していた。
「…あいつ、また暴れたのか」
読んでいるうちに分かった。攘夷浪士でもっとも危険な男・高杉晋助の仕業だと。銀時の恋人でもあった彼は、絶望の中、再び鬼兵隊を作り世界を潰そうとしている。そんな彼を捨てて逃げてしまった銀時は、その事件を見る度自分を責めた。
「あれ、銀さん何処行くんですか??」
「ちょっくら散歩」
「気をつけて下さいね。最近事件多いですから。」
「銀さんは大丈夫だから。じゃあな」
そう言って万事屋を出た銀時は行く先もなくぶらぶら歩いていた。高杉の事を考えながら、ひたすら歩く。すると、隣から聞き覚えのある声がした。
「……ヅラ」
「ヅラじゃない桂だ。どうした迂闊い顔して」
「五月蠅い。銀さん今日、ブルーな気分なんだよ。昔の夢見るわ、新聞で嫌な情報知るしよ」
「高杉の事か…。お前も新聞見るのだな」
「殴っていい??ヅラちゃん」
拳に力を入れたが溜め息を零して止めた。
その様子を見ていた桂は、銀時を近くの団子屋に誘った。銀時に団子を2・3本奢ってやり桂は口を開いた。
「お前の事だ…。自分を責めているのだろう。言っておくが貴様が全て悪いわけじゃない」
「じゃあ、誰が悪いっつーんだよ」
「…天人が来たせいで、俺たちの仲が狂ったんだ。本当なら天人のせいだ」
「……」
「だが―…」
実際は、誰のせいでもないんだ。と言い話が途切れ、沈黙が二人を包み込む。銀時は、何を言えばいいか分からず黙っていた。
「さて、銀時。すまん、俺はエリザベスと散歩中でな。向こうに待たせているのだ」
「おぉ。団子さんきゅ」
桂を見届け銀時は、立ち上がりまた歩き始めた。勿論…行く先などない。再び桂と同じように誰かが銀時を呼んだ。振り向いた銀時は、嫌そうな目付きで相手を見た。
「何??なんかよう?多串くんに総一郎くん」
「旦那、俺は総悟でさぁ。土方さんはいいけど」
「良かねぇよ!!万事屋、俺は土方だっつってんだろ!!」
「はいはい。で…なに??銀さん今日元気ないんですけど。出来ればほっといてくれる?」
「旦那に聞きたい事がありましてね。
……高杉見ませんでしたか」
「……見てねぇよ。」
「そうか、なら良い。行くぞ総悟」
「へい。旦那、気をつけて下せぇ。高杉が今うろついているみたいですから」
「んー」
適当に返事を返すと沖田は土方の元へ行き調査を続行した。
高杉の奴…また何か企んでやがるな。
俺たちが警告した事も無視しやがって。
いっそ、体で躾てやろうか…。
人気のない場所で監禁してやって…。
馬鹿な考えなんて出来ねぇようにしてやるのも悪かねぇ。
「…馬鹿杉が」
ボソっと呟いた言葉は誰にも聞かれず消えていった。いつの間にか、夕方になり始めていた。銀時は、結局一日中ぼーっとして歩いていた。大変珍しい事だ。普通なら数分すれば万事屋に帰るはずのに…と心の何処かでそう思っていた。だが、まだ帰る気がしないのか銀時は歩き続けている。もしかしたら、会えるかもしれない、と言う思いを抱えているからだ。
「…何してんだ俺??つうか、今更なに後悔してんの??」
高杉も馬鹿だけど俺も相当馬鹿だな…と笑った。もう諦めて万事屋に帰ろうと来た道を戻っていた銀時だが…後ろから何かを感じ、路地裏へと向かった。誰もいないと確認した銀時は足を止めた。すると、後ろから足音が止まった。
「出て来いよ…。わざわざ人気のない場所に来てやったんだぜ?」
後ろを振り向きそう言うと、壁の向こうから人が出て来た。小柄であり、着物が派手であり、煙管を咥えており、包帯で片目を隠していた。銀時は目を見開いた。
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