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□最終話




「よぉ、銀時。」

「た、高杉っ!!」



突如現れた高杉に銀時は驚きを隠せないでいた。高杉は、銀時の表情にくっくっと笑い、「化け物を見たような顔するなよ」と言った。




「高杉、お前、何で江戸なんかに―…」



―ドッカーンッッ



銀時の言葉を遮ったのは、爆発音。路地裏から見える範囲まで行くと大使館の近くから煙が出ていた。警鐘が鳴りざわめきの声が此所からでもよく聞こえ、高杉は肩を揺らし、笑っていた。




「高杉、てめぇ」

「クク、俺が何もしねぇで帰ると思うか?」

「お前、何処まで腐ってやがんだ!」




腐ってる、ねぇ。好きに言えよ。高杉は言い、ふぅと煙を吐き狐のように笑う。




「高杉よぉ、おいたが過ぎるんじゃねぇの??」

「…おいたか。…そうだなァ。そろそろ本気で大使館をぶっ飛ばしてやろうか」

「いい加減にしろ高杉ッッ!!!」




ガシッと胸倉を掴み、高杉に怒鳴ったが高杉は嘲笑うかのように笑ったまま。そして、「俺に触れんじゃねぇ」と言い、胸倉を掴む銀時の手を振りほどき、銀時を通り過ぎて壁に寄り添った。




「銀時……お前は同じ空の下で何を望む??」

「……。」

「俺ぁ…あの人を奪ったこの世界をブッ潰しあの人が好きだった世界を…空を取り戻す…。これが俺の望みだ」



高杉の目は、さっきまで笑っていたが…今は憎しみに染まった目つきだった。
銀時は、目を閉じ溜め息をつきながら頭をガシガシと掻き、高杉を見た。




「…俺が望むのは…高杉、お前の望みを止める事だよ。先生を奪った世界だとしても…変えられはしねぇんだ、変えられねぇんだよ。」

「牙を無くした今のおめーに俺を止められねぇさ。銀時…俺を止めたければ…」





俺を殺せ…。





高杉は、煙管を手に持ち囁くように小さく呟いた。銀時は、やる気のない顔をし頬を掻いた。




「…生憎だけど、出来ねぇよ。」

「なに??ぶっ斬るんじゃなかったのか??」

「だって俺…おめーの事好きだから」




一瞬、高杉は目を見開いたがすぐさま普通の目付きに戻った。だが、立場が逆転し高杉から余裕の笑みが消えた。



「…っざけてんじゃねぇ。
俺を置いて戦場から逃げたじゃねぇか」

「そうだね…。だけど、俺は昔も今も高杉が好きだ。」

「……」




高杉は、バカバカしいとそっぽを向くとそこを見計らって銀時は高杉に近付き、体と壁に挟んだ。




「高杉…テロリストなんざやめろよ」

「黙れ…銀時、おめぇに従うつもりはねぇ」

「それは、いつかやめさせてやるさ。なぁ、高杉、俺たちもう一度やり直さねぇか??」

「ハッ、馬鹿言うな。てめぇに裏切られるのは、もういい」




銀時は高杉の唇が当たるところまで近付いた。高杉は、顔をずらそうとしたが顎を捕まれ出来ず、次の瞬間銀時の唇が高杉のそれに食らいついた。高杉は、久し振りの感触に身震いをし銀時の胸を押し返そうとしたがビクともせずだんだん苦しくなりいつの間にか胸をドンドンと叩いた。




「んぅ…ふ…は、ぁ」

「おっと…。」




高杉は、力が抜け倒れそうになったのを銀時が肩を掴んだ。潤んだ目付きで銀時を睨んだ。



「高杉…俺にもう一度チャンスを頂戴」

「……」



向こうからサイレンがなり、真選組が動き出した。高杉はスルッと銀時から抜け出し、煙管を咥えて黙り込んだ。



「高―…「二度はないと思え…」

「高杉……」

「クク、やっぱりてめぇにゃあ敵わねぇんだな。…近いうち、お前んとこに行く」



行こうとする高杉を後ろから抱き締めた。心地良くて目を閉じ高杉の匂いを嗅ぐ。



「高杉…ごめんな。そして…」



ありがとう、愛してる。



「…俺もだ。気持ちが変わってなくて良かった。」




そう言うと高杉は暗闇へと消えていった。銀時は、そこを何秒か見つめて万事屋へと足を運んだ。




俺等は、同じ空の下で生きている。
例え、離れていても空は繋がっているんだ。
同じ空の下で―……




銀時は、唇を抑えて笑い口笛を吹きながら夜空を見つめ、道を歩いて行った。








生きて行く。あいつと共に…。


*fin*
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