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□第1話



ポタポタ落ちて来る。冷たい冷たい雨…。

ポタポタ垂れ落ちて来る赤い紅い血…。



「ハァ…ハァ、ハァ…」



高杉は、散歩している途中に天人数名に襲われた。いくら高杉でも複数相手に無傷ではいかなかった。複数の何人かは倒したものの、高杉はなんとか逃れた。腹を片手で抑えるが溢れる血は止まらず、足を引きずりながら路地裏を歩く。…が、力が抜けその場に倒れ壁に寄り添った。雨が振っているくせに、満月が雨雲から少し出ている。




ズキズキ傷が痛む…。

ズキズキ頭が痛い…。



「……ッッ」



目が霞む…。
俺は此処で死ぬ訳にはいかない。




『全力で…てめぇをぶった斬る!!!』




そうだな…。
斬られるのなら、銀時。
てめぇに殺られてぇな。




視界が歪む中高杉は、満月に手を伸ばした。かつて、共に闘った奴を思い、求めて…。



「ぎ…ん、と……き」




高杉の手は地上に落ち、高杉も暗闇の中へと墜ちていった。






第1話






「銀ちゃん、何処行くの??あッ!!まさか、てんめエッチィとこ行く気アルなッ!!」

「んな訳ゃねぇだろッ!!今日は、月曜。」

「あぁ、ジャンプあるネ。酢昆布よろぴこ」

「わあったよ。つか、神楽それ古い。」




そう良い吐くと銀時は出て行った。この男、坂田銀時は万事屋を営業している何でも屋。
昔は、攘夷戦争に参加し「白夜叉」と言われ仲間からも恐れられるぐらいだった。




「にしても、昨日の雨凄かったなぁ。」




雨の匂いって好きじゃねぇんだけどなぁ、とぼやきながらコンビニへと向かう。毎週楽しみにしているジャンプを求めて。だが、後少しというところで銀時は立ち止まった。




……血、の匂い。
プンプン匂ってくるな。
あの路地裏からか……行ってみるかな??
匂いが半端なくキツい=傷が酷い…だな。




銀時は、足の向きを変えコンビニから路地裏へと進んでいった。生憎、こうゆうのにほっとけない性分だ。




「……ん??」




曲がる角から足が覗いていた。壁にもたれ掛かって座っているんだろう、と銀時は予想し近付いて行った。距離を縮めて行くにつれて足からは血が流れていた。銀時は、重傷だな、こりゃ。と思いながら角を覗くと以前刀を向けた人物だった…。




「……高、杉」




高杉の傷が酷いのに少々焦った銀時だったが、伸ばした手を止めた。




何してんだ、俺は。こいつは、敵じゃねぇか。
助ける必要ないじゃん…。此所でほっとけば俺やヅラにとっては好都合だし。うん、此所は心を鬼にしよう。さて、ジャンプが俺を待っている♪




そう思い銀時は、高杉を無視して自分の目的地へと足を運んだのだった。着くと、最後のジャンプを手にした銀時は、酢昆布と甘いモノと気分的に新八が今夢中で集めている、お通(ガム付き)カードを買いコンビニを出た。口笛を吹きながら元の道を戻っていたが銀時は、路地裏に繋がる道を、過ぎ通ったり戻ったりの繰り返しをしていた。




「……あ゙ぁ〜、糞っ!!」




悩んだ挙句銀時は、路地裏に入り気絶していた高杉の元へと行った。さっきも言ったが坂田銀時という男は、こうゆうのにほっとけない性分なのだ。




「…はぁ、俺って甘い奴」




高杉を抱え銀時は、真選組に会わないよう路地裏の道を通り万事屋へ向かった。たが、そう簡単に行かないものだ……。




「銀さん、何考えてるんですか?」

「いやぁ……その」

「こいつに何されたか忘れたアルカ?!!」

「忘れちゃいねぇよ。」




そう、万事屋で働く新八、神楽がすんなりとOKする訳がない。銀時もそれは分かっていた。




「なぁ、新八。そう言わずに手当てしてやってくんねぇか?」

「いくらなんでもそれは嫌ですよ!」

「…ふーん、せっかく新八にこれあげようとしたのに」

「そ、それは!!!」




先程、コンビニで買ったお通のカードを銀時は、片手に持ちプラプラと揺らしていた。銀時は、買っといて良かった。と心の中で呟いた。新八は欲望に我慢出来ず手当てする事にした。勿論、ブーブー言っていた神楽にも頼まれた酢昆布を渡すと静かになった。




「どうだった??」

「あんまり良くないですね。何日間は安静にしてた方が良いでしょう」

「そうか、ありがとな」

「ですが、やっぱり納得出来ませんよ」

「う…。し、新八くん!心は広くするモノだよ」

「それは今関係ないでしょう!!」




ガミガミ怒鳴る新八に耳を塞ぎ耐える銀時。
それに、神楽も加わり銀時は「耳栓欲しい」と思うばかりであった。




お前等が怒りたい気持ちは分からなくもないけどよー…そんなに怒んなくても良いじゃん!!銀さんデリケートなんだから!




「うるせぇよ。怪我人が起きるともっと厄介になっぞ!」

「いつ起きても厄介になりますよ!」

「そうヨ!!」

「………う」

「「「ギクッ……」」」




まぁ、あんなに騒がれたら起きるのも無理ないだろう。高杉は、何度か瞬きをし、起き上がり回りをキョロキョロ見渡した。3人を見つけて不思議な奴を見るようにじ〜っと見ていた。なんせ、3人共壁に張りつき両手を上げて固まっているのだから。




「た…高杉、くん???」

「………。」

「あの〜、いつもの生意気な言葉は言わないのかな??」

「……だ」

「へ??何だって?」

「お前等……誰だ??」

「……は?」

「分からないんだ…。
此処は何処で…俺が誰なのか」

「「「……。」」」





え…それって…。
まさかの記憶喪失ってやつですかぁぁぁぁぁぁぁッ!!!?





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