拍手

□第2話



「……」

「……」

「えっと、君は"高杉晋助"っつー名前」

「高杉…晋助??」

「そう。で…俺は坂田銀時」

「坂田……金時?」

「銀時ね。そう言ってくる馬鹿もいるけど銀ね」





それは…良いとして今からどうすれば良いんだよ。






第2話






「銀時だってば」

「坂田…」

「銀時」

「…坂田」

「銀t「坂田」

「ぎn「坂田…」





さっきから下の名前で呼ぶか上の名前で呼ぶかの争いを繰り返していた。結局、銀時は上の名前で呼ばれるようになってしまった。





なんか、変な感じがすんなぁ…。今まで、あの憎たらしい口で「銀時」っつってたのによ。いきなり上の名前で呼ばれたら違和感ありありなんだよなぁ。




「銀さん、ちょっと良いですか??」

「ん??…ああ」




居間にいた銀時と高杉だったが新八達はドアを開けてそこに立っていた。紅桜の件で高杉が悪い奴と思い知らされていた。だから、嫌なのだ。もしかしたら、あいつの劇で罠かもしれないと思い込んでいた。




「銀ちゃん…やっぱ危険ヨ!!こんなんじゃ、安心して寝れないアル!」

「銀さん、考え直した方が良いんじゃないですか?」

「……」

「ねぇ、銀さんってば!!」

「…うるせぇよ。分かってる」

「…なら!」




銀時は、頭をガシガシと乱暴に掻き見上げてくる新八と神楽を見た。




「だけど、今のあいつを見捨てる事なんて出来ねぇし、芝居にも見えない。」

「「……。」」

「神楽…此所に居られねぇんなら新八の家に行け」

「銀さん、勝手すぎますよ」

「自分勝手だと分かっている!だけど…あいつは昔は俺達と共に闘った大事な"仲間"なんだよ。…分かってくれ」

「銀ちゃん…」

「お…おい」




三人が振り向くと高杉が立っていた。その両手には、3つのコップが並んだおぼんを持っていた。




「勝手に台所借りてしまったけど…お茶淹れ、た。」

「高杉…」




コップに入っているお茶が震えていたが、それはお茶ではなく高杉の手だった。何か不安を持っているのを物語っていた。




怖くて不安でしょうがないんだろうな。
目が覚めると、知らない自分がいて、見知らぬ奴等がいて、どうしたら良いのか分からないんだ。




「ありがとな…。居間に戻ろう」

「……あ、ぁ」

「「……」」




銀時と高杉が居間に戻って行く後ろ姿を黙って新八達は見ていた。いくら待っても来る気配がなく銀時は苦笑していた。やっぱやだよなぁ、なんて事を思いながら。すると、ガラリとドアを閉める音がした。溜め息を一つ落とし先程買った甘いチョコレートを食べようとしたら二つの手が一つずつ取っていった。横を向くとチョコレートを口の中でコロコロ転がしてよそ見をしている新八と神楽の姿だった。




「お前等…」

「銀さんの気持ち、分かりました。此所は銀さんの家だし、僕達のオーナーでもありますからもう逆らいません」

「それに、あいつがこんな事演技なんかでする訳ないネ」




ニカッと笑う二人に笑い返し新八達は銀時の隣に座った。が、高杉の姿がなく三人は辺りを見渡すと寝床から声がした。




「す…すっげぇぇ!!デカい犬!!」

「わん!」

「あ、それ定春アル!!」

「高杉、あんま近付くな。噛まれるぞ」

「高杉さん、その子可愛い顔してますが結構凶暴ですよ」




ふぅん、と言いながら高杉は放れると思いきやいきなり定春に抱き付いた。銀時と新八は、やっちまったぁ!!と言い目を固く瞑ったがいくら経っても高杉の叫びが聞こえず逆に側にいた神楽が歓声を上げたのだった。見ると定春が高杉の頭に頬寄せ甘えていた。




「坂田ァ、こいつ可愛いな。大人しい奴じゃねぇか」

「凄いネ!定春が初めて私以外の人に懐いたヨ!!」

「信じらんねぇ…。なぁ、新八くん」

「…はい」




定春に舐められながら笑う高杉を見ている銀時は自然に笑った。




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