拍手

□第2話



「くすぐってぇよ…定頼」

「高杉くん、定春だよ。な、定は…ぶぐはぁぁぁ!!」

「銀さぁんんん!!!」

「なれなれしく触るなっていう意味ネ」




定春の額をポンっと叩くと銀時はパンチを食らい吹っ飛ばされてしまった。高杉は、おぉ!!と目を輝かせてお前強ぇんだなぁ、と再びクッションのように抱き付いた。




「んの犬!!毎回やられっぱなしでいると思うなよ畜生めぇぇ!!行くぞ新八!!」

「僕もですか!?」

「当たり前だ!!」

「銀ちゃん!!暴力反対ヨ!!!」

「問答無よ……ぎいやあぁぁぁぁ!!!!」

「ああ!!銀さぁぁぁん!!!」




木刀を構えて飛び掛かろうとしたら先に頭をガブリと噛まれてしまった。高杉は、口を開けその様子を伺っていた。噛まれてもがく銀時の足を新八が掴み、新八の背中を神楽が掴み、銀時をなんとかして定春から解放しようとしていた。高杉の頭の中ではある物語と一致して笑いを堪えていた。そう「大きなかぶ」の事だ。銀時が、かぶで新八が爺さんで神楽が婆さん。そんな感じだ。





―ピンポーン





チャイムがなり高杉は、それを三人に伝えたが、「痛いー死ぬぅ」とか「ふぬあぁぁぁ」とか「定春ぅ銀ちゃん食ったら腹壊すアル!!ペッしなさい!」としか返ってこず再びチャイムがなると高杉は溜め息をつき、聞こえるはずがないが「俺が出て来る」と一応言い玄関へと向かった。




「どちらさんだぁ?今、坂田なら取り込み中だから後にするか、手伝ってやってくれ」

「………」

「……?」




ドサッと土産に持ってきた菓子を落とし高杉を無言で見つめ目を大きく見開いた長髪の男が立っていた。高杉は、首を傾げた。




「……。」

「……お、い?」

「…た、か…すぎ?」

「……??何で知ってんだ」

「………。」

「……??」

「もはや、忘れたのか。」

「……なッ?!」




男の手が刀に伸び鞘からゆっくりと刀を出していく。高杉は、青ざめた表情で一歩下がると玄関からの段差に当たり後ろへと尻もちをついてしまいった。




「……か、」

「貴様が行けないのだぞ。のこのこと現れるのだから」

「―…ッ坂田!!!」

「ちょっと待ったぁ!!」

「…ぐばら!」




銀時が長髪の男、桂の顔面をメコッと蹴りを入れた。持っていた刀が落ちカランと音がした。桂は、顔を抑えて呻きながら痛みに耐えている間に高杉に近寄った。高杉は、ガタガタと震え少し潤んだ目で銀時を見上げた背中を優しく叩いた。




「立てるか??」

「……た。」

「うん??」

「腰が…抜けた」

「……ぶはッ。」

「わ、笑うなよッ!!!」

「悪ぃ悪ぃ。銀さんが抱き抱えてあげるよ」




やだやだと嫌がる高杉を抱き抱え居間へと戻る。その際に横に顔を向け桂を見ると首でこっちに来るよう指示した。





「と、いう訳だ」

「記憶、喪失だと??こいつがか??」

「お前も分かったろ??今までこいつがお前が急に刀を出して怯えるか??」

「……有り得んな」

「何でこうゆう時に気付かないんだ、てめぇは」




新八達は、定春と散歩しに出て行き高杉は銀時が桂に説明しているうちに眠くなり今は、銀時の腿を枕とし眠っている。銀時は、目を細めサラサラの髪を梳き頬を触る。




「銀時…貴様は、これからどうする気だ?」

「どうするって、俺はこいつと一緒にいるつもりだ。それに…記憶を忘れたこいつにはもう何も出来ねぇ。」

「……。」

「…記憶なんか戻らないで良い、って密かに思ってるんだ。先生が殺された事も戦争の事も世界を潰そうとしている事も…全部忘れてしまえばいいって、思っちまう」

「……」

「最悪だな、俺は」

「いや、お前がそう思う気持ち分からん事はないぞ、銀時」




銀時は、そうか。と付け足し幼い子供のように寝る高杉の寝顔を見つめた。そして、あとから思い出したかのように呟いた。





「後で高杉に謝っとけよ?」

「…そうだな」





*next*
.

[表紙へ戻る]

ゲームブックを検索



©フォレストページ