拍手

□第3話



「あぁ…それは、お前が持っていた刀だ」

「俺が…??」

「あぁ、そうだ。」




ふーんと言い高杉は手元にある刀を見下ろした。よく見ると少し色褪せていて昔から使っていた事を物語っていた。ギュッと握ると同時に神楽が女の子とは思えない悲鳴をあげ「ヘルス、ヘルスミー!!!」と言い高杉に引っ付いた。高杉は平然とし「ヘルプミーな」と小さくツッコんだ。




「どうしたんだよ?」

「すす杉ぃぃ、ごごゴキブリがぁぁぁ」

「ゴキブリ??何処にいんだよ?」

「あそこ…」




指を指した方向を向くと台所の蛇口らへんだった。高杉は、実はと言うと虫は好きではない。特にゴキブリは無理だ。どう退治しようか考えていると手元にある刀に目がつき、良い案を思いついたらしく刀を鞘から抜き始めた。




「高杉…何する気だ??」

「ゴキブリ退治!!刀で抹殺!!」

「待て待て何処かにスプレーがあるはずだ。俺が探してくるから手を出すなよ」

「いやアル!!精神的に無理ヨ!私、ゴキちゃん無理アル!!ぎゃあぁぁ!!こっちくんじゃねぇよ!!!」




バキッと床に神楽の拳がめり込んだが、ゴキブリには命中せずカサカサと動きまわっている。桂の方に近付くと手を出すなよと言っていたくせにう「ぬあぁぁぁぁ」と叫び刀ごと投げ付けるが当たらず襖に突き刺さった。勿論高杉の方向へ行くものだから高杉もゴキブリが動きまわる為、床をグサグサと差した。何分間かバキッやグサッやドスッと言う何かが壊れる音が続いたが最終的には定春がパシッとペッチャンコに潰し一件落着……とはいかなかった。回りを見るとものすごく壊れており三人で直せる状況じゃなかった。




「…銀ちゃんに怒られる」

「いくら坂田でも怒るだろうな」

「だだ大丈夫だ!!正直に謝ればきっと許してくれるさ!!きっと―…」




―ガラッ




ドアが開くと共に三人はピシッと固まり話し声がだんだんと近付いて来て居間へと通じる襖を開けると銀時と坂本の会話がピタリと止まった。部屋がものすごい事になっているのも驚いたが何より三人が正座をして俯いていた事にびっくりした。




「……何があったの?」

「銀ちゃん、その例のあ奴が出てきましてね」

「うん…ちゃんと説明しないと銀さん分からないよ」

「ゴキブリが現れましてね…三人力合わせて闘ったわけですよ、勇者が勝った頃にはこうなっておりました」

「勇者は定春か??ゴキちゃんペシャンコだよ、定春が潰したんだよな」

「わ…悪ぃ、坂田。俺、刀で床刺してしまった。ホント……ごめん」

「俺もだ銀時。悪かった」




銀時は三人に近付きしゃがみ込んだ。高杉達は固く目を瞑り覚悟を決めた。殴られてもしょうがない事をしてしまったのだから。だが、高杉が思っている程銀時は酷い人間じゃない。ポンっと頭に手を起きグシャグシャと撫でられた。銀時を見ると笑っていた。




「たく…ゴキブリが出たんなら呼べば良かったのに」

「ごめん」

「謝る事ぁねぇよ。ヅラに弁償させっから」

「俺か!!?」




高杉は、目を点にさせ銀時を見つめた。
俺なのか、銀時!?と銀時の襟を掴みブンブンと振った。振られ続けていた銀時は我慢の限界になって桂にパンチを食らわせてやった。まぁ、それで終わる事なく二人の争いが始まった訳で坂本が止めに入るが吹き飛ばされてしまい、またしても笑っていた。




「何故俺なんだ、銀時!」

「てめぇ人ん家で何勝手に物壊しといて逆ギレしてんだよ!!ヅラ!!ヅラハゲ!!」

「ヅラハゲじゃない桂だ!!」

「桂はカツラでも被っとけ馬ァァ鹿!!」

「何だと?!貴様は、糖分から卒業しないか!?そして馬鹿本からも卒業しろ!!」

「あッ!てんめ、今少年ジャンプの事、馬鹿本扱いしやがったな?!卒業なんかしねぇよ!!男は死ぬまで少年なんだよ!!そして、糖分馬鹿にすんな!」




神楽と高杉は、銀時が言い争う度首を左右に振り二人を見ていた。が、クハッという耐えていたと思われる笑い声が聞こえ二人の言い争いはピタリと止まり笑った方向を見ると高杉が腹を抱えクスクスと笑っていた。




「ハハハ…お前、等面白過ぎッ!漫才してるみてぇ!プハハ!!」




二人は顔を見合わせ口を歪ませ笑った。神楽も笑い坂本もいつもと同じように笑った。さあてと、と銀時が立ち上がりうーんと背を伸ばすと、神楽を見て高杉を見た。




「さぁ、出掛ける準備しろ。」

「「…え??」」

「今日は、祭りがあるらしい。あれ?行きたくない??なら、止めよっか」

「祭り!?行きたい!!」

「私も行きたいヨ」

「よし、なら支度しろ。新八誘いに志村家に行くぞ〜」




桂は、銀時に良いのか??と尋ねると銀時はあぁ。と素っ気なく返事を返した。そして、ニッと笑った。




「あいつは、俺が守るから良いんだよ」

「…そうか。」

「ヅラ〜。ワシ等も行くぜよ。勿論エリザベスもじゃ!」

「うむ、そうだな。じゃ銀時、またな」

「弁償代忘れんなよ」

「あぁ、坂本と割り勘する」

「儂もかぁ!困ったのぉ、アッハッハッハッハッハ〜」




と言いながら出て行った桂に銀時は悪魔だな、あいつ。と思い苦笑い。支度が出来たらしく三人は万事屋を後にし志村家に向かった。




「祭りですか!はい、行きます」

「なら出発ヨ〜♪銀ちゃん、私また射的したいアル!!リンゴ飴も食べたい、ウィンナーも食べたい、蒸しパンになりたい!!!」

「神楽ちゃーん。最後の言葉意味分かんないよー。蒸しパンにはなれないから!だが、綿菓子に俺はなる!!」

「「お前も意味分かんねぇよ」」




高杉と新八が突っ込むと二人は顔を見た。まさか同じ事を言うとは思わなかったのだろう。神楽はツッコミ担当が増えたアル!!と一人で騒いでいた。




「つうか、坂田もう綿菓子になってるぜ??」

「…え」

「ホラ…頭」

「「あ…ホントだ」」




銀時は、えー!!と言うと三人は銀時に綿菓子銀時ーとかなんとか言い茶化していた。




「…てめぇ等ぁぁ!!銀さんを馬鹿にするんじゃありませんんんん!!!」

「きゃー銀ちゃんが怒ったアル〜。逃げろー」






三人が一斉に走り出すと銀時も走り出した。夜になりかけていて向こうからはパンパンと祭りが始まる知らせをしていた。銀時は、こんな些細な時間に幸せを感じこのままの生活が少しでも長く続けば良いなと心の底で思っていた。






*next*
.

[表紙へ戻る]

ゲームブックを検索



©フォレストページ