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□第4話
「グラサン、ゲーッツ。よこせよ」
「だからね、おじさんじゃなくて物狙って!!後ろにある物狙って!!…いてぇ!!」
「腕時計ゲーッツ」
「銀さんもかぁぁぁ!!!!」
「「よこせよ、グラサン・腕時計」」
えー!!っと叫ぶのは、長谷川泰三。何をやっても、まるで駄目な男。略してマダオ。長谷川は、今回も射的の店をしており前は、神楽と真選組1隊隊長ドS沖田総悟にコテンパンにやられたのだった。
「なぁ…。」
「どうしたんですか??高杉さん」
「……アレ食いたい」
「え??」
キラキラと見ている場所へ向けるとリンゴ飴が明かりによってテカテカと光っていた。
「リンゴ飴ですか。僕も食べようかな。じゃ、行きましょうか」
「あぁ」
射的に夢中になっている二人を置いて新八と高杉は、射的の店の前でリンゴ飴の店があって買いに行った。
「おじさん、リンゴ飴二つ下さい」
「まいどあり」
「親父リンゴ飴三つくれ」
「まいどぉ」
「…ん??」
「ん??」
隣に並んだ三人の顔を覗くと新八は顔を汗だらけにして口を開けていた。高杉は、その様子を首を傾げながら見ていた。新八の隣に並んだ三人は、一番会いたくない真選組の近藤、土方、沖田であった。
第4話
リンゴ飴を貰った新八は、真選組に礼してすぐさま銀時の元へ戻ろうと足を運ばせた。勿論、高杉を隠すように。新八の心の中では、バレてなかったらいいけど。と思っていた。いくら、銀時でもそのままの姿で歩かせる馬鹿ではない。お面を高杉の頭に被らせてるし、何より愛刀を持っていない。新八なりに、こんなんで大丈夫なのかな??とものすごく感じていた。
「新八!!てめ、何銀さんの高杉とイチャコラしてんだよ」
「いつおめぇのになったよ?」
「銀さん!!そんな事より此所から放れましょう!!」
「何でだよ?!」
「真選組の三人が近くに居たんですよ!!」
「まぢでか!!神楽はなれー…アレ??」
「神楽ちゃん?!…アレ!!銀さん高杉さんもいないですよ!!!」
二人は、顔を見合わせ、あの馬鹿ぁぁぁ!!!と叫んだ。そう、馬鹿とは神楽の事だ。理由も知らず高杉を連れて他の所をまわっていた。
「へクション!!…ぅー、杉ぃ、綿菓子食べようヨ。甘いの食べたいヨ。」
「ん、あぁ。…でも、いいのか?坂田達置いて来て」
「いいの、いいの」
リンゴ飴をチロチロ舐めながら神楽と並んで歩いた。高杉は、少し先にある店に目がつき、あ。と小さな声で呟いた。神楽も見てみると目を輝かせた。きっと高杉もそんな感じで見ているだろう。
「金魚すくい〜!!杉、これからやろうよ」
「俺、やるより見るのが好きなんだ。おめぇ、やれよ」
「任せるアル〜!!!」
『任せとけって!!』
『金魚すくいか!!お前、前もやって世話しなかっただろ!!』
『まぁまぁ!!高杉が欲しいっつってんだから、良いだろぉ!!なぁ…高杉ww』
『―…あぁ』
「……また、だ」
高杉の視界は、また知らない場面になった。今と同じで何処かの祭りだった。神楽は小さい子供達と共に金魚すくいを夢中にやっている。高杉は、ぼーっとして考えながら少し放れた椅子に腰をかけた。
一つだけ分かるのは、昔の自分の記憶。
きっと…高杉と言われた小さい奴が昔の俺だ。だけど、俺に話しかけていた…二人は誰なんだ…。また、光の反射で顔が見えなかった。でも、聞いた事のある声。
「…分かんねぇなぁ」
「杉ぃぃ!!」
顔をあげると、神楽が満面の笑顔で手を振っていた。高杉も、微笑みながら振り返す。高杉が座っている後ろは木々で風に吹くたび小さな音でガサガサと葉が擦れる音、枝と枝が擦れる音が聞こえる。…だが、風でも何でもない音が聞こえてくる。ガサガサガサと。まるで、誰かが木々の中を走り高杉を狙っているようだ。次の瞬間、木から出て来るように何かが飛び上がった。座っていた高杉は、地面に人間に見えない大きな影が映っており上を見上げた途端、大きな音を立てて何かが降りてきた。…天人だ。天人の姿を見て周りにいた人々は悲鳴を上げて逃げていく、当たり前だろう。天人複数がいきなり現れて、その手には物騒な物を握っているのだから。
「……な、に??」
「やっと見つけたぜ??高杉晋助。我らから逃げられるとでも思ったか??」
「何訳の分から、ねぇ事を…」
「杉ぃぃ!!逃げるアル!!!」
向こうから、高杉の元へと急ぐ神楽の姿が見えたが、高杉は恐怖のあまり動く事が出来なかった。天人は、刀を振りあげ高杉目掛けて振り下ろした。
「―…ッッッ」
ドォンという音がし周りはモクモクと煙が出始めていた。神楽は、その場に力なく座り込んだ。煙が邪魔で高杉がどうなったか分からない。
「杉ぃ……ッ晋助ぇぇ!!!」
高杉が被っていたお面が神楽の近くに落ち、神楽の声だけが夜の道に響き渡ったった。
*next*
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