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□最終話





赤く真っ赤な液体が薄暗い闇に散らばった。
目の前で倒れた奴は、俺が唯一愛した男…。




「……」




目が覚めたら高杉は地面に横たわっており、両手は後ろに縛られていたが、足は自由に動かせれた。高杉は、見える範囲を見渡した。回りには建物すらなくただ木々に囲まれていた。不気味な烏の鳴き声や風に吹かれる度葉っぱが掠れる音がした。




……銀時。
俺のせいで巻込んでしまったな。
だけど、なんで俺なんかを助けたんだよ。
助けなかったら良かったのに。
お前はいつもそうだ。突き放すくせに危なくなったら守ろうとする。今にしても攘夷の時にしても。お前はホントに馬鹿だ。そんなお前に礼を言えない俺も馬鹿だよな。




「お目覚めか?高杉晋助」

「……」

「俺たちから逃れるとでも思ったのか?」

「お前等…大使館の遣い手か」

「ごもっとも。これ以上鬼兵隊に暴れてもらう訳にはいかないからな」

「お前を殺したら欲しい金額をくれると約束してくれた」

「クク…、天人共の脳はどいつもこいつも似た脳をしているのか……よッッ」




高杉は、素早く起き上がり先頭に立つ、この中で中心人物と思われる天人に蹴りかかったが足を捕まれ木に叩き付けられた。くぐもった声をあげさらに次の衝撃に襲われたのだった。高杉が目を開けた時には、豚顔の天人二人に押さえ付けられていた。逃れようとしたが天人二人の力に勝てる筈がなかった。




「相変わらずやる事が早いんだなぁ」

「ハッ…てめぇ等が鈍いんだよ」

「…お前。今自分の立場分かってるのか?」

「……」




高杉を押えている天人二人を含み笠を被っている中心人物の後ろ約十体ぐらい立って笑っていた。





………銀、時






最終話






「……ぅッ」





笠を被った天人は、高杉に近寄り左手で軽く首を掴んだ。両手の自由も失った挙句自由だった足さえ奪われ高杉にはどうする事も出来なかった。




「さて、どうやって殺してやろうか」

「……ッッ」




回りからは、"八つ裂きだ!"とか"切断しちまえ"とか色々な言葉が聞こえてくる。その結果決まったのがどの奴でもやりそうな事だった。じっくり痛めた後楽にする。簡単に死なせないと言う事だ。




「……汚ぇ手を退、けろ。気持ち悪ぃんだ、よ」

「フン、減らず口もそこまでだ…ぜ?」




ザシュっと何かが裂けたような音がし激しい痛みが高杉に襲いかかった。




「ぐ、あぁぁあぁぁ、ぁッッ!!」

「このガイを馬鹿にするからだ…。にしても、真っ赤で綺麗な色してるじゃねぇか。」

「…〜〜ッッ!!」




笠を被った天人:ガイは、右手で高杉の左腿を刀でぶち刺したのだった。左腿から刀を抜くと刀から流れる血液を眺めた後、今度は右腿に鋭い刀を刺した。高杉は、歯を食いしばった。




「……〜〜ッ、ぎッッ!!!」

「行儀が悪い足はお仕置しとかないとなぁ。な…高杉」




高杉は、苦しそうに頭を左右に振らししているのを見たガイは気を良くし抜かず左右に回し傷口を広げていく。十分に傷口を広げて刀を抜くと血がドクドクと流れ両足につたう。高杉は、片目を強く瞑り痛みに耐えていた。ベットリと刀についた血をガイは舐め、高杉の首元に当てた。当然いきなり冷たい物が当たった為高杉はビクッと肩を揺らし目の前にいるガイを睨んだ。




「ぐッ……調子にのんな下衆野、郎ッ」

「…次は、その目を潰してやろうか。」

「……ッ!?」

「顔…強張ってるぜ?」




刃が高杉の右目に近付いていく。距離を少しでも放そうとしてもあまり変わらず、高杉は片目を失った時の恐怖を思い出し震え出した。もう少しで刃が眼球に当たる寸前に大きな音がし後ろにいた天人数人が宙に吹き飛んだ。ガイはびっくりし後ろを振り向くと自分が切った筈の男が立っていた。そして見知らぬ長髪に茶髪の天然パーマの男二人。




「ごめんっく〜ださーい!!!!迷子の迷子の子猫ちゃん、を返して下さ〜い!!」

「随分俺達の仲間に好き勝手してくれたな」

「アッハッハッハッ〜。流石の儂も、キレたぜよ」




意識が朦朧し始めていた高杉だったがその声を聞いて、した方向に目を向けると目を大きく見開いた。





「ヅラ…辰馬……銀、時」





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