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□第1話




ある日の昼下がり、高杉は屋上へ来ていた。
大抵一人を好む高杉は、一服する時や授業をサボる時によくこの屋上に訪れる。立入禁止で人があまり来ないからだ。




「……」




フェンスに寄り掛かり高杉はカチッとライターから火を出し煙草に付けた。肺一杯に吸い込み、ふぅと口から煙を出すと青空に広がり風に吹かれて消えていった。




あ、あの雲綿菓子みてぇな形してんなぁ。
なんか…あいつみたい。いつもフワフワしている銀髪を持つ男。




「……はぁ」

「晋助ぇぇぇぇぇ!!!!」




溜め息をついた途端屋上の古びた扉が勢い良く開かれいつもしつこく付き纏う男、河上万斉がやって来た。




「晋助ぇぇッ、バンド部に―…ッ」


―…ジュッ


高杉は片手に持っていた煙草を万斉の額に押し付けたのだった。




「ぬぐあぁぁぁぁ!!何をするうぅ晋助ぇ!!」

「毎日うるせぇんだよ。しないっつってんだろうが」

「そう言わずに頼むでござ…」

「そのござる口調耳障りなんだよッ!!時代遅れがぁぁぁ!!!!」

「ぎゃあぁぁぁぁ!!」




高杉は、さっきの煙草攻撃で倒れた万斉に向かって蹴りをプレゼント。頭から煙を出すように万斉は気絶した。高杉は、それを見下ろして何回目かの溜め息をついた






第1話






万斉を屋上から放り出したあと高杉は地べたに寝転んだ。ポカポカして暖かくて気持ち良くなり高杉はウトウト寝始めていたが上から声がし目を開けると銀八が見下ろしていた。




「なぁにしちゃってんのかなぁ??高杉くん」

「……」

「って、おぃぃぃぃ!!なにまた寝ようとしてんのぉ?!」

「うるせぇなぁ。俺がどうしようとおめぇには関係ないだろ」

「おめぇじゃなくて先生ね」

「ふぅん」




高杉は銀八の話を無視し再び目を閉じた。
坂田銀八、高杉の担任。否、元恋人。恋人だった時の二人は、江戸時代。高杉は同じ名前だが銀八は1文字違い。江戸では坂田銀時と言う名で万事屋を営業していた。そんな銀八に出会ったのが高杉が高校に入ってからの話だ。高杉は、恋人だった事も江戸で己が何をしていたのかも覚えていたが銀八は何も覚えていなかった。




小せぇ頃からの馴染みなのに何も覚えてねぇとかふざけてんじゃねぇよ。俺は、15年間お前を探し続けた。高校に入ってお前を見つけた。なのに、覚えてないなんてよ。いずれ思い出すかと思っていたが2年も経って3年になっちまったら諦めそうになる。




フワリ、っと甘い匂いがし目を開けると銀八が高杉に跨がりヤンキー座りをしていた。高杉は、ムッとし何してんだよと言うと銀八は無表情でブレザーを掴み捲られ高杉は、ドクンと高鳴った。顔を赤くさせて目を固く瞑りそっぽを向いた。




「もーらいッ」

「……は?」




それを聞き銀八を見ると非常に苛つく顔をしており片手には胸ポケットに入れていた煙草の箱。高杉は、油断した事と自分で勘違いしてしまった事に腹がたった。




「あ〜らら、悔しいあまりに顔赤くさせちゃって〜♪」



……違う。



「させてねぇよ!!暑いからだ!!」



これも違う…。



「えー、秋なのに?」

「文句あんのかよ!!いいから、返せッッ!!!」





怒りが頂点に達した高杉は、銀八に殴りかかったが避けられ手首を捕まれて降り払おうとした直後引き寄せられた。




「そんなに怒るなって」

「―…ッ!?」




口に甘い味が広がった。銀時が好きだった味で銀八が好きな味、苺ミルクだ。




「それあげるからコレ没収な♪」

「…ちっ」

「それと、次俺の授業だから出るよ〜に」




そう良い銀八は屋上からいなくなった。一人残された高杉は手のひらを固く握り締めた。








悔しさで顔を赤くさせた??
暑さで顔を赤くさせた??
…違う、違う、違う!!!
お前が好きだからだッッ!!!!どうしてお前は俺に関わってくる!!?
俺は、お前への想いを消そうとお前から放れてるのに、何でいちいち来るんだよ!







頼むからこれ以上俺を苦しませないでくれ。









でないと…、
苦しさに負けて潰されちまいそうだ……。









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